しゅりー さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
そこに何があろうと、完全に霧を晴らしたい人のためのアニメ。
2011年秋から2012年春まで放送していたTVアニメ、ペルソナ4。
その最終話は原作ゲームで言うところのノーマルエンドでした。
本作「The Factor of Hope」はTVアニメの物語を振り返った上で、
TVアニメでは未公開のトゥルーエンドを描く形のアニメです。
TVアニメのBD/DVD最終巻の中に付属していますが、
2012年6月には劇場でイベント上映もされました。
「トゥルーエンドを観たい人は劇場へどうぞ」という話には
どうしても反感を覚えるところがあります。
ですが、こういうEDに分岐のある原作のアニメ化で各分岐先が
描写されること自体はおもしろくも感じてしまい、複雑な気分です。
そういう意味ではSteins;Gateなんかは個別ルートも
ほんの少しは描いてほしかったなと連想しながら視聴しました。
さて劇場で視聴していながらレビューを書かなかったので、
BDでまた観ることにしたのですが、再生時間を確認して驚きました。
本編が90分弱あるのですが、半分以上が登場人物達によって
TVアニメの内容をお浚いする形の総集編なのです。
正直に言って総集編でキャラクターコメンタリーみたいな掛け合いが入るのは
個人的に好きではないので、総集編部分は微妙に感じました。
しかし、その後の映像のためには総集編は必要不可欠なわけで…。
普段TVアニメを何となく眺めていると最終話の頃には初期のエピソードの中に
記憶が曖昧になる部分がけっこうあるという経験が私には(いつも)あります。
そういった情報に靄のかかった状態の不安を改めて感じることで、
特捜隊メンバーに感情移入する下準備が出来たように思います。
だからこそ、霧の先に何があるのか語られた時は強い衝撃を感じました。
本編の映像、音楽などはほぼTVアニメと地続きで劇場用に質が良くなったような
イメージですが、TV本編以上にそれぞれの舞台、風景の印象をしっかり描写
しているように感じました。良くも悪くも町を覆う霧の存在が大きく感じます。
トゥルーエンド突入後の展開やED前後の雰囲気などはかなり気に入っています。
明らかになった真実とどう向き合うか選択を迫られる主人公、悠の心の在り方、
独りでいることと、誰かがそばにいてくれたことの意味など後半部の内容は
多少鬱なところもありますが、おもしろく観ることが出来ました。
ゲーム未プレイなのでゲーム本編と同等の感動であるかはわかりません。
しかし、後半の映像は元々P4が好きだった方はもちろん、
例え憂鬱な場面があろうとトゥルーエンドを観たいという
強い好奇心がある方にはオススメ出来る内容なのではと愚考します。
ちなみにBD/DVD10巻には「The Factor of Hope」とは別に
TVアニメ側ディスクで「True End Episode No One is Alone」が収録されています。
「No One is Alone」は「The Factor of Hope」の総集編部分が
ごっそり削られているので、総集編部分が観たくない人はそちらをどうぞ。