にゃんた さんの感想・評価
4.1
物語 : 5.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
自分と向き合うこと、本当にできていますか?
(原作未読)
★総評★
萌えもエロも派手なバトルも無い(バトルシーンはある)。
作画も古い。
一言で言えば地味。
しかし、ストーリーと、そこに込められたメッセージの深さに感動させられる、骨太な作品。
主人公を始めとする登場人物達の人格的な成長を、
舞台となる世界の動向と上手くリンクさせて描くストーリー。
計算されたプロットの中で、徐々に表現されていく深いメッセージ。
それらが、39話のあるシーンに向けて収束していく。
(39話のラストシーンは象徴的だが、個人的にはそのもう少し前のシーンが最も印象的だった)
物語を重視したアニメ嗜好を持つ方には、
是非オススメしたい名作。
★以下、詳細★
~序盤~
8話くらいまでは、意味不明な固有名詞が多く、
暗中模索状態&主人公の未熟さに、ちょっとイライラ。
しかし、9話以降、一気に物語に惹き込まれ、寝食を忘れて視聴した。
9話あたりで視聴継続するかを判断するといいかもしれない。
人は、分かっているようで、意外と自分のことを正確に知らない。
特に、自分の短所を知ることは、おそらくかなりの苦痛をともない、かつ困難だと思う。
他人の短所はすぐ目に付くのに、自分の短所に自分で気づくことは希だったりしないだろうか。
私個人も、ある程度の社会経験を積み、苦痛を伴う経験を通じて、初めて自分の性質や短所を認識できた。
しかも、今の時点で認識しているそれは、必ずしも正しいものであるという保証もない。
「自己分析が必須」などと、就職活動においては1つのスキルのような言葉であらわされているが、
そんなに安っぽいものではない。
「自分を知ること」は、人にとって最も困難で、
かつ一生達成することのできない最大の難問なのではないだろうか。
この作品は、重厚なストーリーを通じて、この点を実にしっかりと描いている。
~終盤~
身が震えるような感動を覚える展開になっていく。
よく練られたストーリーに加え、上述した根本テーマについて丁寧に描かれていたことが、
物語に説得力と深みを加えていたからだろう。
39話で発せられる主人公の一言(「心に鞘は~」)に、涙が出た。
物語へ感情移入したのは確かだ。
しかし、それが主原因ではない。
作品の作りこみの秀逸さに感動し、涙が出たのだと思う。
ストーリーへの感情移入以外で涙が出ることを、初めて教えてくれた名作。