入杵(イリキ) さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
予想以上に面白かった
本作は伏見つかさの「俺の妹がこんなに可愛いわけが無い」(電撃文庫)を原作に製作された。
長く、しかもふざけたタイトルから倦厭する方もいるだろうが、其れは大抵の場合、誤りである。
本作は従来の「妹萌え」作品と違い、現実的な妹を意識して書かれ、兄妹関係は非常に現実的である。
主人公である高坂京介の妹の桐乃が「隠れオタク」であり、
本作は主人公がその事実を知ってしまったことから、不仲だった妹に振り回されるというホームコメディである。
世界観、描写にも非現実性は微塵も無く安心して視聴出来る。登場するキャラクターも魅力的で十分にキャラ萌えを楽しめる作品だ。
現在巷に溢れる作品名がやたらに長い作品は本作が先駆者。
公式略称は「俺の妹」だが、「俺妹(おれいも)」の方が有名。
あらすじ
{netabare}
波乱のない普通の人生を志向する男子高校生・高坂京介は、数年前から中学生の妹・高坂桐乃から挨拶もされずまるで汚物を見るかのように蔑んだ視線を送られるような関係になっていた。京介自身もまた非凡な才能に溢れる生意気な妹を嫌っており、そうした冷え切った関係がこれからもずっと続くかに思われていた。
ところがある日、京介は自分の家の玄関で、高坂家では自分も含めて誰も見そうにない魔法少女アニメ『星くず☆うぃっちメルル』のDVDケースが落ちているのを発見する。しかも、そのDVDケースには『メルル』のDVDでなくアダルトゲーム『妹と恋しよっ♪』が入っていた。京介は夕食の卓を囲みながら両親に『メルル』の話題をそれとなく振ってみるが両親、特に警察官である父親はオタクに対する偏見が非常に強く否定的な反応が返って来るのみであった。ただ一人あからさまに不審な反応を返したのは、持ち主としては最もありそうにないと思えた妹の桐乃であった。
{/netabare}
感想
私は本作の作品名からあまり視聴に乗り気では無かったが、友人の勧めで観てみるとこれが意外と面白い。
2,3日で観終わってしまった。DVDをレンタルして視聴したので、TV未放映のTRUE ROUTEも観ることが出来た。
現実の憎たらしい妹と、妹が嗜好するゲーム内の妹との乖離が見ていて面白かった。何だかんだと言っても世話を焼く京介の姿勢には感服である。自慢の妹なんだろう。
本作は主人公・京介の主観により展開されており、他の登場人物の心情は完全に理解出来ない。特に妹の桐乃が兄に抱いている感情は謎のままで、ツンデレか否かを見極めるという楽しさもあった。
本作のコンセプトとして、社会から疎んじられている「オタク」に関する偏見の払拭というものがあった。
現在はアニメを嗜好する程度ではオタクとして差別されることは無くなったが、依然としてアダルトゲームや、同人誌の嗜好者に対する偏見は強い。
総評
魅力的なキャラクターと現実的な世界観が紡ぐ兄妹のモームコメディである本作を、是非視聴していただきたい。
OPのClariSの歌う「irony」と、毎話変わるEDも魅力である。