plum さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
小学生編の持つ意味
「初めて新とかるたをしたあの日、私が知ったのはかるたじゃなくて、新の情熱だったんだ。」
1話の最後に、千早が語る台詞。3話までが小学生編です。本作のメインは高校生編ということを考えると、序章にあたるパートなのですが、その序章のインパクトがもの凄い。それは特に新によるもの。吸い込まれそうな真剣な瞳。普段はオドオドした少年が、かるたで見せる緊張感と情熱。新の情熱を知ったのは、千早だけではなく、私達もそうなのです。ここは本当に上手いなと思います。千早の出発点とも言えるこの新との出会いは、私達にも千早と同じように強く印象が残ります。だからこそ、高校生の千早が新に向ける思いに共感することができるのでしょうね。
メインの千早、新、太一。皆が魅力的なキャラですが、ちはやふるのいい所は、脇役にもあると思います。かなちゃん、駒野(机くん)、西田(肉まんくん)。それぞれの情熱、仲間への想いがとても良く描かれています。その中でも個人的に好きなのは西田。漫画では描かれなかった入部のエピソードは、素晴らしいアニメオリジナルエピソードでした。いつも二位だった事への悔しさ。中学生の時かるたを休んでしまった事への後悔。必死で頑張っている彼の台詞に、何度かうるっとさせられました。
もうひとつ、ちはやふるのいい所に、大人の存在があります。中でも原田先生の存在はとても大きく、千早や太一の道しるべとなっています。大人が存在しなかったり、情けない大人しか出ないアニメが多い中、本作の大人の存在は物語に深みと幅を持たせていますね。
「ほんなのは夢とは言わんよ。自分の事でないと、夢にしたらあかん。」
「青春全部懸けたって強くなれない?まつげくん。懸けてからいいなさい。」
ちはやふるには、いい台詞がたくさんあります。それは、確かに原作のものではあるのですが、アニメでこそできる声優さんの演技、そして音楽が、大きな付加価値を与えていると思います。
さてさて、ちはやふるが気に入ってしまった自分は、BDと原作を全て買ってしまいました。この原作の力は本当に凄い。一度は挫折した作者が、これだけの作品を作る。ちはやふるで描かれる情熱は、この作者の情熱からくるのでしょうね。