にゃっき♪ さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
welcome to the accelerated world
近未来、思考速度を1000倍に加速するプログラムであるブレインバーストを起動して、仮想のゲーム世界で過ごす時間を短縮出来る事で、現実の学園生活も普通に過ごせるように辻褄合わせをしているアバター型のバトル作品です。
作品世界において、開発されて16年ちょっとのニューロリンカーという装着型端末を、生まれた直後から使っている事をブレインバーストのインストール条件にすることで、参加者をお子様限定にしているというかなり強引な設定で、リアルにおいてもオトナはほとんど出てきません。
加速世界が後付けのため、思考速度の加速をゲームにばかり費やしている残念な登場人物たちにも呆れますが、こんな状況なら名探偵コナンのような中身がオトナなキャラが普通で、中身が爺さん婆さんなプレイヤーもいるはずなのに、口ばかり達者な小学生は出てきても、どこが成長してるのかわからない倫理観もない自己中心のキャラばかりなのは、原作者も残念な方だからなのかもしれません。
主人公である肥満体のハルユキですが、周りに大事に思ってくれる人たちもいるのに、陰気で卑屈なモノローグを聞かされては、魅力がないどころか不快なレベルで、主人公に感情移入して視聴したい方にはハードルが高すぎます。
こんな劣等感の塊の肉まん少年が、作品世界の女性にとっては安心感があるらしく、ヒロイン黒雪姫がゲームが上手い以外には取り柄もないのに積極的にアプローチするのが不自然なばかりか、次々と周りに女性プレイヤーが集まってくるのは理解を超越しています。
心の傷を反映するアバターが唯一無二の飛行タイプという主人公補正はともかく、主要キャラ以外はまずアバターありきで、若すぎるプレイヤーにとって、どんな心の傷がそのアバターを生み出したのか理解に苦しむものも少なくないように思います。
嫌われるために不快なだけに描かれた悪役を成敗する事が、迷いもない正義であるかのように描写するのでは、自分に都合良く解釈された仮想世界におけるモラルを、一方的に押しつけてくる身勝手な印象があり、後味もよくなかったです。
仮想世界は人を相手にすればコミュツールであり、現実と変わらない良識が必要とされるのは説明するまでもありませんが、個々のプレイヤーが仮想世界で得たものをどのように現実にフィードバックするかに干渉するのは論外です。そもそもゲームをプレイする事で現実世界でも加速できる設定自体がやり過ぎで、作品そのものを陳腐で馬鹿げたものにしてしまっているように感じました。
唐突に挿入された外伝や、何もかも続編に投げてしまうような終わらせ方があまりに残念な作品ですが、比較的丁寧に原作をなぞっているのは救いであり、続編があれば突っ込みながら視聴したいです。