入杵(イリキ) さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
一世を風靡した日常系の代名詞
本作はかきふらいの「けいおん!」(月刊まんがタイムきらら)を原作に制作された日常系アニメである。
女子高校生が軽音楽部で和気藹々と活動するのが本作の骨子で、恋愛は一切登場しない。
原作は4コマ漫画で主に登場人物の他愛の無い日常を描くが、アニメでは音楽性も重視し、ストーリー性も付加している。
京都アニメーションが手掛けており、作風は大変良好で、メディアミックス展開により爆発的な人気を呼んだ。
関連楽曲がオリコンチャートで頻繁に上位にランクインし、
レコチョクアワード2009年上半期最優秀新人賞、第24回日本ゴールドディスク大賞特別賞などを受賞した。
あらすじ
{netabare}
春、新入生がクラブを決めるころ--
田井中律(たいなか りつ)は幼馴染の秋山澪(あきやま みお)を連れて軽音部の見学へ行く。
しかし部員全員が卒業してしまった軽音部は、あらたに4人の部員が集まらないと廃部になってしまうという。
琴吹紬(ことぶき つむぎ)という仲間を加えて、最後の一人をさがしているころ、
「軽音部」を軽い音楽(口笛など)と勘違いしていた楽器初心者・平沢唯(ひらさわ ゆい)が入部してくる。
{/netabare}
感想
原作は殆ど読んでいないが、原作を良い方向に脚色できていると思う。原作にあまり無かった音楽への想いや、それに伴う友情も深く描かれ、しかし原作の骨子であるほのぼのとした女子高校生の愛らしい日常も上手く表現出来ている。
京都アニメーションの代表作にして、日常系アニメの代名詞の一つである本作は、アニメを観るならば一度は見ておきたい作品の一つだろう。音楽に関して全くの無知であった唯が、軽音部の仲間とともに一生懸命音楽に向き合い、視聴者の目に見える形で成長してゆく。
「唯のギターの上達が早すぎる」、「恋愛の無い女子高校生という幻想はオタク向けである」、「軽音楽とは表面上のテーマで、その実只の退屈な萌えアニメである」などの批判があるが、それはそういう作品として受け止め、その上で楽しむべきである。また、こういった物議を醸したという実績は、本作がそれだけ有名になったという逆説的な証明でもある。
アニメに詳しく無い人でも「けいおん!」なら知っている人が多く、深夜アニメの知名度を向上させたという実績は高く評価したい。
本作を楽しむ上で欠かせないのは、キャラクターを好きになることである。キャラクターを愛すことにより、本作に並々ならぬ情念が沸き起こってくる。逆にキャラクターが嫌いであれば、本作を楽しむことは不可能ではないか。
最後に、本作の楽曲は大変特徴的で、最初は「これは日本語か?」と疑うほど歌詞が理解出来なかった。何と言うか、メロディに歌詞を無理矢理こじつけた様な、ストレートに咀嚼できない感じの曲が多かった。何回か聴くと漸く意味が分かってきたが。
また、ストーリーに関して言えば、少々拙速感があり、1クールで2年分は速過ぎたのではないか(梓を早く登場させる為だろうけれど)。もう少し濃密に制作して欲しかった。2クールで制作するとか。
総評
本作は一世を風靡したキャラ萌え日常系アニメである。個性的で魅力的な女子高校生が音楽に直向に努力しながらも、他愛の無い日常を送る様子を描いている。
この他愛ない日常を「愛らしい」ととるか「愚にも付かない」ととるかは視聴者次第である。私は大変堪能できたと思う。