入杵(イリキ) さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
是非御視聴いただきたい
西尾維新によるファンタジー小説
「化物語」上下巻を原作に、
アニメーション制作をシャフト、
監督を新房昭之が手がけた怪異に纏わる物語。
西尾維新は「とにかく馬鹿な掛け合いに満ちた楽しげな小説を書きたかった」と語っており、原作はその殆どが登場人物同士の会話に裂かれていて、アニメでもそれを踏襲しているのが特徴的である。
個性的な登場人物によって織り成される言葉遊びを是非楽しんで頂きたい。
非常に豪華な声優陣で、この言葉遊びもこの声優陣あっての
ものだと、脱帽した。
OP,EDもとても良い出来映えで、
EDの「君の知らない物語」は名曲と絶賛されている。
OPも物語のメインヒロイン毎に変わり、
各キャラクターの個性が良く表れていると思う。
そして特筆すべき本作の特徴はその演出にある。
シャフトと新房監督が作る独特の世界は、他の作品を見てもよく分かるが、本作は更に、斬新なカメラワークや、旧字体に変換された原作の抜粋、旧字体で書かれた標識や看板、そして高速で画面を過ぎ去る旧字体といった視聴者にインパクトを与えるものになっている。この一風変わった奇抜で斬新な演出が、原作とともに織り成す世界は、非常に視聴者の心をくすぐる物で、原作ファンからも支持されている要因はこれであろう。
構成はヒロイン毎に
戦場ヶ原ひたぎ「ひたぎクラブ」2話
八九寺真宵「まよいマイマイ」3話
神原駿河「するがモンキー」3話
千石撫子「なでこスネイク」2話
羽川翼「つばさキャット」5話
計15話で話が進んでいく。
「ひたぎクラブ」あらすじ・感想
{netabare}高校3年生の少年・阿良々木暦は、文化祭の準備をしていた5月のある日
ひょんな事から2年間ろくに会話すらしたことがない
病弱なクラスメイト・戦場ヶ原ひたぎの秘密を知ってしまう。
なんと彼女には、およそ体重と呼べるものが殆ど無かったのである。
暦は秘密を知った日の放課後、ひたぎから秘密をばらさないようにと執拗な脅しを受けるが、
それにもめげず彼女の秘密に対する協力を申し出る。
彼女によると、2年前に1匹の不思議な蟹に出会い重さを根こそぎ持っていかれたのだと言う。
実は暦もひたぎと同じような奇妙な体験をしており
その時に忍野メメという怪異に詳しい男の力を借りたのだった。
暦とひたぎはメメに相談する為、彼の住む学習塾跡の廃墟ビルに向かう。
メメによるとひたぎの体重を奪った蟹もやはり「怪異」であるという。
ひたぎはメメの力を借り、自分の体重を奪った怪異と再会するのだが
それには彼女自身が封じたある過去の秘密が関係していたのだった。
阿良々木君とケ原さんの出会いが収録されている「ひたぎクラブ」では、
ケ原さんのツンドラ振りや、二人の会話劇が堪能出来る。
2話しかないので、直ぐに見終わってしまうが、
化物語を語る上での重要な話である。
{/netabare}
「まよいマイマイ」あらすじ・感想
{netabare}5月14日、この日は全国的には母の日だった。
阿良々木暦は上の妹、火憐と喧嘩をして家を飛び出し、名前も知らぬ公園のベンチに座っていた。
そこで偶然通りがかった戦場ヶ原ひたぎと雑談していると、母親に会いに行く途中の大きなリックサックを背負った少女―八九寺真宵
に出会ったのである。
暦とひたぎは少女を家まで送り届けようとするが、
たどり着くことが出来ない。
少女は蝸牛の迷子だったのである。
本作はこの5つの物語の中で一番会話劇が面白く、八九寺というキャラの魅力を知らしめた回だと思う。
阿良々木君とケ原さんの会話劇も秀逸で見ていて飽きない。
また、ケ原さんの発明した「蕩れ」という言葉も面白い。
ケ原さんの「I love you」 の返答に
「はやるといいよな戦場ヶ原、蕩れ」
は良かった。
{/netabare}
「するがモンキー」あらすじ・感想
{netabare}母の日に戦場ヶ原ひたぎに告白され、彼女と付き合うことになった阿良々木暦。
それから2週間、彼はここしばらく1年下の後輩、神原駿河に付きまとわれていた。
ひたぎに勉強を教えて貰う約束をしたその日も、帰宅途中で偶然をよそおった神原に話しかけられる。
その夜、暦はひたぎのアパートからの帰りに、
レインコートに身を包んだ怪異―――「左手」がケダモノの怪異に遭遇したのだった。
神原駿河も魅力的なキャラクターで、彼女の発言も中々秀逸で、面白い会話劇を繰り広げてくれる。
本作はケ原さん、八九寺、神原、羽川と主要なキャラが揃い、中々面白かった。
{/netabare}
「なでこスネイク」あらすじ・感想
{netabare}神原駿河の怪異を解決した後、阿良々木暦は忍野メメからある神社にお札を貼って来て欲しいという依頼を受けていた。
そして、神原を連れてその神社に向かう途中、暦は参道で帽子を被った中学生の女の子とすれ違った。
その後、暦が神社の本殿にお札を貼っている間に、神原が奇妙なもの―――ブツ切りにされた蛇の死体を発見した。
その光景を見た瞬間、暦は唐突に、先刻すれ違った女の子のことを思い出す。彼女は下の妹の友達で、名前は―――千石撫子だった。
満を持して撫子の登場!いやぁ~可愛い(笑)
本作は2話と短い構成だが、撫子の魅力を十分に表現できたと思う。原作では最初の神社へ向かうシーンで阿良々木君と、神原の絡みに70Pぐらい使って会話劇が繰り広げられており、個人的にはこの部分が撫子スネイクで一番好きなシーンである。
なのでアニメで大分はしょったのが残念だった。
{/netabare}
「つばさキャット」あらすじ・感想
{netabare}
文化祭準備期間中の6月13日。
この日は阿良々木暦と戦場ヶ原ひたぎにとって記念すべき日になった。
その翌朝、登校途中の暦に羽川翼から助けを求めるメールが届いた。
急いで翼の待つ公園に駆けつける暦。そこにいたのは―――猫耳が生えた翼だった。
そう、悪夢のゴールデンウィークの続きだった―――。
つばさキャットは原作でも他の物語よりも長く書かれており
、アニメでも5話に亙って制作された。副音声で羽川さんも言っていたが、前半のほとんどは阿良々木君とケ原さんのデートに割かれており、羽川は全然登場しない。
この阿良々木くんとケ原さんのデートの回が私は大好きである。
OPのsugar sweet nightmareは名曲である。
後半ではブラック羽川を是非御堪能いただきたい。
{/netabare}
視聴後に、是非、副音声のオーディオコメンテータリーを御視聴いただきたい。一度で二度おいしい良作である。
もし、本作が気に入ったなら、原作の購読を強く勧めたい。