入杵(イリキ) さんの感想・評価

4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態：観終わった

一度は観るべき

P.A.WORKS制作、麻枝准原作の本作は、
死後の世界を舞台にした青春ドラマである。
主人公が死後の世界に行って、そこで｢死んだ世界戦線｣に加入し、消えないように｢天使｣と戦う。
というのが主なストーリー。
平成22年度（第14回）文化庁メディア芸術祭アニメーション部門/長編の審査委員会推薦作品に選ばれている。
2010年度年間テレビアニメBD･DVD売り上げランキングで『けいおん!!』に次ぐ2位を獲得した。
声優は非常に豪華。

あらすじ
{netabare}
森に囲まれた丘陵地にある天上学園は生徒総数2000名を越える全寮制の学校。一見するとごく普通の生徒らが生活を送っている学園だが、そこは死後の世界だった。

現世で理不尽な人生を体験し、青春時代をまともに送れずに死んだ者はこの世界に送られ、あらかじめ用意されたエキストラ(NPC)の生徒達と共に学園で楽しい青春時代を過ごす内に未練を無くし、「消滅」(成仏)し、転生する。

しかし、転生することを拒む人々がいた。少女・ゆりをリーダーとする「死んだ世界戦線（以降、戦線）」は、理不尽な人生を強いた神への復讐を目的とし、元々が死後の世界であり「死ぬ」ことのないこの世界で、学校の秩序を守る「天使」と日夜戦いを繰り広げていた。

生前の記憶を失った少年・音無は、戦線のメンバーと行動を共にするが、次第にこの世界の真実を知ることとなる。
{/netabare}

感想

本作はドラマ＋コメディー＋バンド＋バトルというかなり異なる要素を織り交ぜたものとなっており、他作品の二番煎じでは?と疑うものもあった。

｢天使｣とは何者か、死後の世界の役割、消える理由などの
疑問を抱えながら、仲間と共に｢神への復讐｣をする為に｢死んだ世界戦線｣のメンバーは戦う。
前半は主に登場人物に愛着を持たせる為、ギャク要素の
強い展開で、後半はだんだんと世界の理屈が分かってきた主人公が疑問を解決し、
登場人物のシリアスな過去や、物語の終焉へと話が推移する。

OPのMy Soul Your Beatsは神曲である。
EDのBrave Songや劇中歌(特に一番の宝物)が大変素晴らしい。

残念なのは本作が1クールアニメであったことだろう。脚本担当の麻枝准曰くそうとうな無茶振りがあったとのこと。
主要キャラの成仏に裂く配分が滅茶苦茶で、最後に纏めて成仏したことにさせられた不憫なキャラも多く居た。
観れば観るほど設定や心理描写に粗があるが、
｢神への復讐｣という統一した目標を持ち、不遇な死を遂げた若者が、楽しい青春を謳歌できた点は大変評価出来る。
また、視聴者に多大な考察の余地を残した点も良い。

どこか儚げな作画や、心に響く音楽がとても印象的な作品だった。登場人物も個性的で好感度の高い人ばかりで、観ていて楽しい作品だった。日向の｢俺が結婚してやんよっ!｣は名言。

総評

様々な要素を含む本作は、個性的なキャラクターが、死後の世界で繰り広げる青春ドラマである。有名な作品だけに見所が満載で楽しめる構成だ。後半のシリアス展開も良かった。
未視聴の方は、必ず一度は観るべき作品だ。