「墓場鬼太郎(TVアニメ動画)」

総合得点
65.6
感想・評価
179
棚に入れた
797
ランキング
3259
★★★★☆ 3.9 (179)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
4.0

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

真の鬼太郎ここに在り。

本作は水木しげるの「墓場鬼太郎」を原作に「ノイタミナ」枠で制作された。「ゲゲゲの鬼太郎」における鬼太郎とは正反対の本来の鬼太郎を観る事が出来る。
現在、角川文庫から刊行されている貸本(レンタル本)時代の作品を元に、原作に忠実に映像化されている。
声優も1期(1960年代)、2期(1970年代)で鬼太郎・ねずみ男を演じた野沢雅子、大塚周夫が当時と同じ役を演じた。
本作の狙いとして全5期の鬼太郎シリーズにおけるプロローグ的位置付けがあったと思う。
「ゲゲゲの鬼太郎」のゲゲゲは、水木しげるが講談社での連載を開始した際に、「墓場」では載せられないとの注文から、
水木しげるのあだ名「ゲゲ」を元にゲゲゲの鬼太郎という名称になった。何故あだ名がゲゲなのかは諸説あるが、
水木しげるが幼い時分、しげるをゲゲると発音したという説が有力だ。
尚、本作は全「ゲゲゲの鬼太郎」共通のOP「ゲゲゲの鬼太郎」が使用されていない。
水木しげる作品本来のダークな鬼太郎が大変好感。
深夜枠ながら高視聴率を維持したらしい。

あらすじ
{netabare}
時は昭和30年代―。終戦から10年が経ち高度経済成長が急加速で進む中、富む者は富んだが、社会の底辺では泥まみれになりながらも日々を生き抜いている人々が溢れていた。
そんな社会に幽霊族最後の生き残りとして墓の中から生まれてきた鬼太郎。
地獄とは?この世とは?生きる幸福を考察し尽くした水木しげるの哲学に立ち戻り、元祖・鬼太郎が人間を笑い飛ばし、生きる喜びを謳いあげていく。
{/netabare}

感想
{netabare}
放送倫理の観点から原作とは若干の違いが有るものの、ほぼ原作に忠実に再現されており、ダークな鬼太郎を十二分に満喫することが出来た。音楽も作風にマッチした選曲で大変芳しく、作画も原作の雰囲気が感じられ、原作ファンをも魅了する仕上がりには感服する。
特筆すべきは、本作の鬼太郎は従来の鬼太郎とは比較にならないほど正義感の欠片も無く、戦闘能力に乏しい存在である。人間を地獄送りにしたり、育ての親である水木を見殺しにしたりした。髪の毛針やリモコン下駄なども当然使えず、
そもそも戦闘をしようとしない。敵の妖怪に操られてしまう程である。
その代わりといっては何だが、薄気味悪さ、狡猾さは従来の作品に見られなかった点だ。水神を目覚めさせる様子は、ねずみ男以上のトラブルメーカーである。
ねずみ男が善人に思えてくるような本作の鬼太郎であるが、
これが本来の鬼太郎であり、本来の水木作品である。
本作の鬼太郎像は大変魅力的で何度見ても飽きない。

水木しげる作品の特徴として、「幸福」の考察がある。
本作は、ゲゲゲの鬼太郎には無かったこの「幸福」というテーマが見え隠れしている。昭和30年代という時代の中で、
幸福に生きるとはどういうことなのか、現代に繋がるこのテーマを十分堪能して欲しい。
興味があれば、是非他の水木しげる作品を読んで欲しいと思う。
{/netabare}

今までゲゲゲの鬼太郎を視聴したことがある方は、是非本来の鬼太郎の姿、水木しげる作品の醍醐味を堪能して欲しい。
ゲゲゲの鬼太郎を見たことが無い方でも、ホラー作品として、一風変わった面白さを味わうことが出来る。
是非、視聴して欲しい。

投稿 : 2013/04/22
閲覧 : 463
サンキュー:

18

墓場鬼太郎のレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
墓場鬼太郎のレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

入杵(イリキ)が他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ