otaqueen さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:----
映像史上最高のタイムスリップ作品
アニメに限らず古今東西のタイムスリップ(含むタイムりープ)作品の中で、最も
よくできていると思った。基本的には2000年に投稿されたジョンタイターの予言を元にしているが、その理論を一層精緻化したうえで、個性的なキャラクターのぶつかり合いによって、非常に感動的なストーリーにまとめている。
まず特筆すべきは、「世界線」という概念。これまで多くの作品では「過去の改変⇒バタフライエフェクトによる歴史の変化⇒主人公の消滅」というパターンが多かった。(バックトゥザフューチャー等)
しかしこの場合「主人公消滅⇒過去の改変の消滅」となり、無限ループとなってしまう。いわゆるタイムパラドックス。
この矛盾を解決するため、スタートレックヴォイジャーやフリンジではパラレルワールド(並行宇宙)の存在を描いているが、理論としての体系化は不十分であった。
本作ではこのパラレルワールドを世界線と名づけ、無数に存在するものとした上で、ダイバージェンス(世界線変動率)により数値比較可能とした。
この理論では、過去の改変=新たな世界線の作成となり、もとの世界線には影響しないので、タイムパラドックスは生じない。
更に本作が過去作品と一線を画しているのは、タイムスリップで最も重要な能力として、「リーディング・シュタイナー」と呼ぶ世界線を越えて記憶を保持する能力に着目した点である。主人公がこの能力を持ち、しかも積極的にあるべき世界線を目指したが故、単調な繰り返しでなく、スリリングな終盤の展開が可能となった。この点に関しては、涼宮ハルヒのエンドレスエイトにおいて、もしキョンがこの能力を持っていたら、あるいはこの能力を持つ長門ユキが、積極的にループからの脱出を図っていたら、もっと面白い展開になっていたのではと思わざるを得ない。
少し理屈っぽくなってしまったが、本作はこれほどの論理的なテーマを、それとは感じさせない感動的なストーリーで、わかりやすく描いている点が素晴らしい。またOP曲も、作品のテーマと完全に合致している点で秀逸である。
また序盤主人公の虚言妄想的態度も、終盤の仲間を助けようとする執念のストーリーをより感動的なものとしている。
私の個人的評価では「日本アニメ最高作品賞」と「世界タイムスリップ最高作品賞」を与えたい。