maruo さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
主人公に自分を重ね合わせてしまう S
物語として見たときに第3話の中途半端さは尋常ではありません。
主人公のヘタレっぷりに文句を付けたくなるのも分かりますし、One more time, One more chanceのPVだと言いたくなるのも分かります。
でも私は、1回目に見たときからとても気に入りました。
2回目に見たときには、知らぬ間に涙がこぼれている自分に気づきました。
私は、この作品は主人公に感情移入する作品ではなく、主人公に自分自身を照らし合わせて見る作品だと思うのです。
誰しも、相応の年をとれば、恋愛で辛い経験の一つや二つはしたことがあると思います。
それが、この主人公の経験と似通っているかどうかは余り問題ではありません。
第3話では主人公の動向は最低限の描写にも達してないと言えます。
それが逆に、視聴者の多様な経験を重ね合わせることを可能としているのだと思います。
主人公は踏み切りを渡ったところで振り向いた。
そして、彼女も振り向く素振りを見せた。
主人公の現状が少しだけ描写される。
One more time, One more chanceが流れ、フラッシュバックのように情景が流れる。
そして、電車が通り過ぎたときには彼女はいなかった。
主人公は再び歩き始める。
私にはこれ以外に何も必要ありません。十分すぎます。
ちょっと脱線します。
私の好きな歌の一節に
‘あの日、坂道を二人上りと下りに別れ、振り向かず恋を終わらせた’
というのがあるのですが、この作詞者は女性です。
これを見て私は、いかにも女性視点の歌詞だなぁと思いました。
私は思いました。「男は振り向いているんだよ!女も振り向いてくれるって思っているんだよ!」と。
往生際が悪く、未練たらたらなのが男なのです。
この主人公も然りです。
電車が通り過ぎた後、彼女が待っていると思っていたことでしょう。
でもそうではなかった。
私はこの主人公にヘタレなどとは言うつもりは毛頭ありません。
実に男っぽっくて愛おしい主人公じゃありませんか。
主人公をヘタレと思う人は、未だ挫折を知らないか、物語の主人公は完璧であるべきだと思っているかのどちらかではないかと思ってしまいます。
でも、主人公は私たちと何ら違わない普通の人なのです。
彼に唾を吐くような行為は、自分に唾を吐くに等しいのです。
私自身のことを言えば、過去の経験を前向きに捉えるよう自分なりに努めてきた点においては、主人公よりも前に進んでいると思います。
ただ、そうは言っても、時折思い出すと胸が締め付けられる時ってあるんですよね。
この作品は思いっきり思い出させてくれました。
だから涙が出てしまったんですねww
この作品に共感できないと言う方々であっても、これからいろいろな事が起こるかもしれません。
数年後でも10年後でも良いので、もう一度見直してみれば、また違った感想を持つかもしれませんよ。
何だか思いだけが先走り乱文になってしまい失礼しました。