くし さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ツンシュンと妖狐(忠犬w)が繰り広げるラブロマンス
この物語は最後まで観た人にだけ価値を得る事が出来る熱いラブロマンス。
物語は本編12話とニヤニヤなOVA1話で構成される。
最後の2話までは日常の物語から繰り広げられるエピソード。起伏が少なく進展がやや緩やかなのだが、最後の2話にありったけの想いが展開するので、最後まで観る事によってこのストーリーの真価を味わう事になる。そして徐々に薄皮がはがれるように見えてくる心のありように胸が熱くなる。
タイトルの「妖狐×僕SS」は「いぬ ぼく シークレットサービス」と読むそうだ。
僕はツンシュン(ツンとして後で落込んでシュンとなる)少女。妖狐はシークレットサービスで、容姿端麗だが狐はイヌ科なのでご主人に尻尾を振る従順な犬のようで微笑ましい。
この二人と、妖怪の先祖返りが住むマンション「メゾン・ド・あやかし」の住人達と繰り広げる温かい物語。
ツンシュン少女と妖狐SSが築く恋の行方とその隠された真相は…。
{netabare}
妖怪の先祖返りが住むマンション「メゾン・ド・あやかし」
ここに先祖返りのヒロインの凛々蝶(りりちよ)が入居する所から始まるのだが、本当の自分を表現できない、虚勢を張って悪態をついてしまう少女。その悪癖を自分自身で分かっているから、人を傷つけたり不快にしてしまうので臆病になり、一人になるためにやって来たのだ。
凛々蝶を守るシークレットサービス役の御狐神(みけつかみ)は妖狐の先祖返りで幼少の頃はその重圧の中で、虚像を演じ装う。
この二人、出会うまでは文通をしてきた関係だが凛々蝶は本当の相手を知らない。
御狐神は本当の手紙の相手に代わってかげろうのように虚像を装って来た。
手紙のやり取り… つまりその世界は自分と彼女だけの世界で手紙だけが本当の姿。
手紙やメールは口ではなかなか言えない事も、本心で語ってしまうものだ。
虚勢を張って悪態をついてしまう凛々蝶と、偶像という虚像を演じるも感化されていく御狐神との手紙で綴る本当の心。
そこから育まれた御狐神の愛。
凛々蝶はこの御狐神の忠誠心にお礼を言いたいのだが虚勢から悪態をついてしまうのが面白くって、
そしてどんどん気になり始めるも恋と自覚がなく、もどかしくもあるが可愛い。
{/netabare}
このマンションに住む先祖返り達は、先祖返り達が背負っている重圧をみんな分かり合っているから理解し合う。
楽しく触れ合い導き助け合う姿に気持ちが温かくなる。
自分を嫌いだからわざと演じる二人。みんなの温かさと二人の想いから心の鍵が徐々に開いていく。
自分から人との関係を断ったり、逃げたり押し殺したりしていてはいけない。
いろんなしがらみを向き合って本心をぶつける。
人は人に係わる中で、傷ついたり傷つけられたり、そうした中からスキルを身に付け磨き上げることが出来るのだ。
この物語からそんな気持ちにさせられました。
もどかしい恋と愉快な住人の楽しさと温かさ、心に響く展開と、なかなかいい作品でした。