maruo さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
個性の吹き溜まり S
原作未読
主人公倉下月海(くらしたつきみ)はイラストレーターを志して上京したクラゲオタク。
彼女が住むのは、風呂・トイレ共同、男子禁制のレトロなアパート天水館(あまみずかん)。
住人は皆オタクでニート。
天水館にすむ資格として「オシャレ人間は敵」「人生に男は不要」などおいうモットーを立てさらには自分達を「尼~ず」と称し、外部との接触を避けてぬるま湯のような日々を送っていました。
ある日、月海はペットショップで、死にかけているお気に入りのクラゲを救出しようとしますが、店員に全く相手にしてもらえません。
そこに通りかかった美女が事情を聞きつけてクラゲを助けてくれましたが、その人は女装趣味の男鯉淵蔵之介だったのです。
月海に興味を持った蔵之介は男であることを隠しつつ天水館に出入りするようになり・・・。
月海は自分の本当の綺麗さに気づいておらず、普段は眼鏡に蜜網、すっぴん、常に上下グレーのスエットという非常に冴えない外見をしています。
それが蔵之介にメイクやスタイリングを施される清楚なお嬢様風に変身してしまいます。
それでも、元来の自身のなさからオシャレに対する欲求もなければ、自分に恋をする資格もないと思い込んでいるという、非常に自己否定の強い女の子です。
そんな月海に対する蔵之介の気持ちを歌ったのが、ED「きみのキレイに気づいておくれ」(サンボマスター)、まさにぴったりの歌だと思います。
物語は、蔵之介が男であることがバレるかどうかのドタバタや、「尼~ず」のオタクっぷりなどを中心としたギャグパートのほか、月海と蔵之介の想いが交錯する恋愛パートもあり、盛りだくさんです。
そして、話は天水館が取り壊されるかという展開を迎え、それを回避するために蔵之介が行動に出ます。
そこで月海の隠された能力が開花します。
この辺りの話の展開が若干速いような気がするのですが、それでも十分面白いです。
この作品は、ほんのちょっとのきっかけで人は変われるものなのだよ、ということを伝えているように思います。
ただ、それはオタクであることを捨てることとはまた別のことだとも思います。
物語では、蔵之介は在り来たりの人間との付き合いに飽きが来て、尼~ずの皆に興味を持ちます。
オタクとは、こだわりを持って物事に打ち込めるという状態ですから、それは本来その人の魅力の一つであるはずです。
でも、オタクであることの引け目で外観を諦めているのが尼~ずの面々でした。
しかし、オタクであるという魅力に、外観の魅力が加われば、その人の魅力をさらに引き出すことができるのだ、ということをこの作品は訴えかけているのではないかと。
まあ、口ほど簡単ではないとは思いますが。
オタクに焦点を当てた本作品はダイバーシティーを尊ぶ風潮にも一致するように思います。