源静香 さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
幻想文学的ミステリー
その文学的表現は秀逸であり、乱歩や横溝に連なる幻想・猟奇ミステリーとしてなかなか楽しめました。
ただ、推理物としての完成度は低いですね。初めの事件の「駅での少女の死」はプレディクタブルで、出会ってすぐにその流れと結末が予想できました。
また、 {netabare}研究施設のSF的{/netabare}設定は本格推理としてはあまりに稚拙です。 {netabare}現在においても完成されてない技術を使ってのメイントリックは推理その物の否定だと思うんです(サブ設定で使われてるだけならいいんですけどね)。例えば密室殺人の真相が実は開発されたばかりの「タイムマシン」を使って行われた、なんて説明されたらばかばかしいと思いません?{/netabare}「魍魎の匣」ではそれっぽい伏線がはってあってあまりその唐突さを感じさせないつくりにはなっているのですが。その上、通常は {netabare}ビル丸ごとの生命維持装置{/netabare}が必要なのに、{netabare}匣の中に移された首が汽車の中まで生きている{/netabare}なんてありえないでしょう。施設から駅までだって数十分はかかってるはず。
ともあれ、幻想またはホラーとして観るならとても素晴らしい作品ですね。
それに京極堂のオカルトから宗教にいたる考察もなかなか深くて推理物が好きな理屈っぽいお方にはお勧めかと。