ぱるうらら さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
天使の鼓動! もう一つの終結部の存在について(後半部) 読んでくれると嬉しいかもです!!
keyが手掛けたアニメ。 keyは過去にAirやKanon、CLANNADなどの良作を生み出してきた会社ですから、keyの手掛けるアニメにおいて最新作となるこのAngel Beats!にはとても期待している人は多かったのだろうと思われます。
序盤(第1話)は話が急展開過ぎて誰もついていけなかったでしょう。 音無が目覚めたときには“ゆり”曰く、既に『死んだ後の世界』にいて、SSS(死んだ世界戦線)が、なぜか天使と呼ばれる女の子と戦っているというのですから。戦っている理由も、その世界の存在理由、なぜとある女の子が天使と呼ばれているのか、NPCとは何か、SSSのメンバーはなぜここにいるのかetc...などイマイチわからないことばかりです。
視聴者はきっと音無と同じ感情や考えをを抱いていたでしょう。「なんだこれは??」と...。
きっと、何の情報も与えられていない視聴者が記憶喪失の音無と同じ立場で見れるように図られているのでしょう。
次の回でも『笑い』の要素が主で、あれらの疑問点についてはあまり触れられていません。
そして3話から終わりにかけてこのアニメの内容についての核心について徐々に触れていく。
つまりこのアニメは、最初に視聴者に情報不十分のまま困惑させ、徐々にその物語の謎にういての核心へ近づき、終盤で全ての疑問点の解決させるというもの。またくすることによって、視聴者に十分感情移入させて製作者側が意図する感情表現をさせたり、敢えて最後を曖昧にすることで視聴者側にいろいろと考えさせようとしているのではないかと思われます。
この作品が私たちに求めている感情は、『笑い』『泣き』『感動』『不安』『緊張』『驚き』『困惑』などでしょうか。 そして様々な感情の中でも強いのが『笑い』『感動』『不安』『困惑』であると思います。
また、この作品から私たちが受け取られるものと言うと、何よりもまず『愛』でしょう。 日向とユイの恋愛、直井(生徒会副会長)の兄や親父に対する家族愛と彼を認めた音無との友愛、ゆりの妹たちへの慈しみなどがありますが、一番注目すべきは終盤です。
終盤では、謎の男とゆりがある会話をしていました。それは、死んだ後の世界において『ANGEL PLAYER』という死んだ人物をNPCと変えてしまう『影』を作り出すシステムを作った人物がなぜそれを作ったのかということ。 このシステムの製作者は、この死んだ後の世界でとある女性に恋をしました。きっと共にその世界で生きていこうと二人で誓い合ったのでしょう。しかし、その女性のほうは『愛情』を持ったまま男の前から消滅してしまった。そして、その男性のほうはずっと女性をその世界で待ち続けていたが、女性はもう戻ってこないこと、死んだ後の世界には『愛情』が存在してはならないことを悟り、自分のような人物が出現してしまわぬように、死んだ後に愛という感情に芽生えても残されるのは、未練と自分の死よりも辛い絶望しか残らないのだと気づかせないために「影によって愛情を発生させた人間をリセットさせる」というシステムを作ったのである。これがあの会話の一部における解釈であります。
ここは考えさせられるところでもあります。あの場面ではもう既に影が現れているということは愛が芽生えていた。私はこの『愛情』を音無とかなでのものと解釈します。戦線の皆が消滅した後、「不幸な魂」を救済するために共に世界に留まろう、と音無が言い、かなでに告白したが、かなでは音無に現世で自分の命を引き伸ばしてくれたことに対する感謝の言葉を述べ、消滅することを望み、音無を残して消滅してしまった。これは『ANGEL PLAYER』の製作者と同じ運命を辿っていることになり、『ANGEL PLAYER』が失うことは、必ず未練と絶望を残してしまうことを意図していたのかもしれない。
ここに、普通に恋愛のできる生者と異なる死者における愛の儚さが感じられた。 しかしここが一番、様々な愛を感じられた場面でもあります。
次に、『怒り』『憎しみ』『悲しみに』『やり切れなさ』などの『負の思い』についてです。
これはSSSの誰もが持っていた感情でしょう。 死んだ後の世界は未練を残したまま死んだ人々が逝く場所ですから。 日向のようにおそらく甲子園へ向けた野球の試合で自分のミスによってそのチーム全体の一つの夢を潰えさせ、そのことを悔やんだまま死んでしまったり、ユイのように人生はこれからでまだ何もしていないような頃に、体の自由を奪われ、やりたいことをすることも出来ないまま、母を残して死んでしまったりなどいろいろなエピソードがありますが、今回は音無・ゆり・まさみ(ガルデモの元リーダー)をピックアップしてみます。
音無は、元々ただの引きこもりのような者であったが、妹の存在という生き甲斐があった。自分の人生を妹のためだけに捧げていこうと思った矢先に妹の死。この時点で音無の絶望感は並々ならないものであっただろう。 しかしその後、妹の死を受け入れ改心し、妹のように病で亡くなるものがいなくなるために医学を学び、今まで存在し得なかった将来に向けて進みだした。 それから、列車事故の発生。 ちゃんとした医学を学んできたわけではなくとも、今の自分(音無)の医学知識でも人を助けてみせるとして、実際に助けることが出来た人もいたが...助けることが出来なかった人もいて、音無は悔やんでいた。
ゆりの生前は、普通の女の子として両親そして妹2人・弟1人と平和に暮らしていたが、ある日突然強盗が押し入り、弟妹たちを人質に取られ、自分(ゆり)が時間内に家にある高価なものを強盗に渡さなければ弟妹たちを一人ずつ殺すと言われ、結局3人とも理不尽な死を与えられた。 ゆりは弟妹たちを守れなかったことに悔やみ、理不尽な人生を与える神という存在が許せなくなったのだろう。
まさみの生前は、喧嘩ばかりする親に対して恐怖に震えながら生きてきたが、ある日SAD MACHINEという歌を聴き、自分の将来を見つけ、自分には音楽しかないと悟り、捨ててあったギターを拾って音楽の道へと走り出した。しかし、親の喧嘩に巻き込まれて頭をビール瓶で殴られ、脳震盪、更には音楽(歌手)には絶対に必要な言葉を発することも奪われそのまま死を迎えた。
非常に理不尽な死を与えられたこれらの3人は、きっと『負の思い』で満ちたまま死を迎えた、不運な者達である。 皆、夢半ばで夢を諦めねばならなかったのだから。
そこで、その理不尽さに対する怒りを神にぶつけ、行動に起こしたのがゆり。
そして、『記憶を失い、性格も変わって生まれ変わるなら、それは自分の人生ではなく他人の人生だ。自分の残酷で理不尽な人生は自分が受け入れるしかない。しかし、そんな人生は受け入れられないから自分は戦う』と言った。 このような思いを抱き、実際に抗い始めたゆりが、(性格上の理由もあるが)一番悲惨な目にあったと言えるしれない。
このことを悟ってから、おそらく自分は強くならねばならないと思い、最終話での女の子らしさを捨て、性格をも変えた。 このようなことができるゆりが、やはりSSSの中で一番強く、だからこそリーダーの役を務められたのであろう。
SSSのメンバーの生前の話から、人生、人間らしさとはなにか、そして『怒り』『憎しみ』『悲しみに』『やり切れなさ』についてを私たちの心に強く印象付けたでしょう。
そして、それらに対して抗う強さも感じられたと思います。
とにかくこのアニメは奥が深く、人間らしさや生と死、人生の理不尽さなどが考えられます。 これらを理解しようとするには1度見ただけでは無理でしょう。 最低2度は見ないと話が伝わらないほど深い作品なのです。
最近、私はアニメから学べることもわりとあるのではないかと思い始めました。
ということで、古いアニメも見てみようとさせたアニメでもあります。
納得のいかない展開や中途半端な部分も目立ちましたが、流石に噂になることだけはありますね、このアニメは...。
実は、このAngel Beatsには“アナザーエピローグ”といってもう一つの終結部があるのです。まだ見たことのない人はぜひ探して見てください!!
私もこれの存在を知りませんでしたが、 とある御方が教えてくださいました。この場で感謝いたします。ありがとうございました。
テレビで放送されていたストーリーでは、かなでも消え、音無もおそらく死んだ後の世界から消えてしまったのだろうと思われます。そして、現世で生まれ変わったであろう二人が、デートの待ち合わせか何かで再び一緒になるところで、このアニメは終了しました。しかし、このアナザーエピローグでは、音無はかなでが消えた後、『「不幸な魂」を救済するために共に世界に留まる』という、かなでと共にやりたかったことを自分一人で行うことを決意し、あの世界にただ一人残ったという、もう一つの終結部・可能性を表したものです。
ここでは、音無はかなでが以前に就いていた生徒会長として
君臨していた。そして、音無は生徒達(NPC)に恐怖の象徴(暴君)のように思われている。これではまるで直井(前生徒会副会長)の様なものであったが、本当は、現世で未練を残して死んだために“死んだ後の世界”に迷い込んできた人にあることを助言するため、つまり、自分達が生きていた理由、死んだ後の世界で自分達がすべき事を見失いかけている者に、多少の怒りの気持ちを込めて、自分を見失うなと伝えたかったからあのような態度をとっていたのかもしれません。
「ある奴には過去に立ち向かう勇気が、ある奴には夢を叶える努力が、ある奴には長い時間と仲間が必要だった。」このセリフから、もうSSSのメンバーは消えていること、かなでと別れた後の出来事だと分かる。このセリフを聞くと彼らのストーリーを思い出して少しあのときの感動が甦ってくるようです。
その迷い込んできた人が音無に対し「今はあなたに立ち向かう勇気だッ!!!」と言って音無が安堵したところから、音無のそこにおける存在理由がわかりますね。 この時点で彼(迷いビト)には一種の希望や立ち向かうものについて気がついただろうですから、音無が心に留めている『「不幸な魂」を救済する』ということが無事達成されています。これが音無の1つの存在理由です。
もう一つの存在理由は、あの生徒会室で、ある人を待つこと。そのある人とはおそらくSSSのメンバー、もしくはかなででしょう。 こんなことはありえないと音無も思っているはずだけれど、過去に『ANGEL PLAYER』の製作者が思っていたことと同じことを音無は考えていたのでしょう。だから音無は成仏せずに死んだ後の世界にただ一人残ったのだと思います。
このことは結局のところ『ANGEL PLAYER』の製作者と同じ運命を辿っているということです。ただ、それで音無がその人と同じ事をするとは限りませんが、いや、もしかすると同じことを繰り返すのかもしれません。ある意味ではバッドエンドともとれ、ハッピーエンドともとれます。ここのところは曖昧なまま終わってしまいましたから何とも言えませんけれど…。
これが、アナザーエピソード(もう一つの終結部)を見た私の感想です。
そういえば、最終話を見て勘違いしていたことがありましたw angel beatsの意味です。 意味を履き違えてましたww
かなではなぜあの世界にいたのか? それは心臓を提供してくれた音無に感謝をするためです。つまり、こういう風に意味を取れます。
Angel=天使(かなで) Beat=鼓動する
つまり天使の鼓動です。天使(かなで)の心臓は音無のもの、音無の心臓がかなでの中で鼓動しているのです。
つまり、かなでの思い残したことは題名に記されていたのですね♪ 今更、気がつきました。
戦線メンバーの生前のエピソードが知りたい人は、Angel Beats! Heaven's Doorという本をお読みください♪
最後に、長いレビューになりましたが、ここまで見ていただき感謝です。