STONE さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
目的と手段のギャップが放つ魅力
原作は未読。
キャラ設定、演出、主題歌などは、高校生の喧嘩バトルものだが、その手の作品に
おいて、通常は学校やストリートの覇権争いが喧嘩の目的だったりするのだが、この
作品ではスーパーの閉店間際の半額弁当を巡っての戦い。
かなり馬鹿馬鹿しい設定だが、その馬鹿馬鹿しさを真面目にぶれることなく最後まで
やってくれたとの印象。
この「真面目」という部分が結構大事で、作品自体はいわゆるギャグバトルものだが、
バトルそのものや、狼達を巡るストーリーラインにはあまりギャグは組み込まれておらず、
結構シリアスなもの。そのシリアスな空気感の中で半額弁当を奪い合うというギャップ
感が、おかしさを感じさせる。
スーパーを舞台に、スーパーのテーマ曲や「おさかな天国」などの脳天気なBGMが
流れる中、緊張感を持ってその時を待つ狼達。そして、半額神が姿を消した途端に始まる
激しいバトル・・・。なんかシュールさをも感じるシーンでした。
基本部分がシリアスなために、笑いに関しては、その合間合間で取っていた感じ。バトル
シーンでは主人公の佐藤 洋、槍水 仙、著莪 あやめを始めとする狼達が見せ場を作りつつ、
その合間ではバトルに絡まない白粉 花、白梅 梅、井ノ上 あせびといった面々がいい味を
出していた。
シリーズ構成的には、前半はモナークを震源地とする東区と西区の抗争を山場に、後半は
オルトロスを巡る展開を山場にと、それなりにうまくまとめてくれた感じ。
最終回は槍水 仙自身に、オルトロスに対するリベンジをしてもらいたかったが、これは
あくまで個人的希望。
一歩引いて見てしまうと、「半額弁当を巡って、よくここまでやるよな」という思いに
囚われるが、よくよく考えると若い頃って、後になってみるとしょうもないことに異常な
までに熱心になっていたことがよくある。
そう考えると、この作品における半額弁当は若い時分に情熱を傾けたもの全般の
メタファーかもしれない。
この弁当だが、毎回違った弁当が出てきて、更に結構細かい描写をしてくれるので、
見ているとお腹が空いてくる。
弁当の名前はサブタイトルにもなっていたが、ストーリーにはまったく関係ないのに、
ご丁寧にカロリー表示までしてくれるのが面白かった。
ストーリーや作画など、良くも悪くもB級感漂う作品だったが、音楽はやけにセンスの
良さを感じさせた。
特にフリージャズ、カンツォーネ、アフリカン・ミュージックなど、他のアニメ作品では
あまり使用しないジャンルのアレンジを持ってくるところが印象的。
あとセガ推しがやけに強い作品だった。特にバーチャファイター。原作者が好きだったの
かな。