けみかけ さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態：観終わった
「そんなんじゃ生きてけないよ！」おとぎ話のようなその13年は僕らが歩んできた道であり、君達がこれから歩く道でもあり、誰しもにいずれ訪れる悲しくも美しいお話
どうしても『サマウォ』や『時かけ』との対比になってしまうのがクズヲタであるけみかけさんの悪い癖なのですが、お話の面では前者2作品にあったコミカルな部分がほぼ皆無
モノローグで語られるシークエンスとBGMのみで日常風景や情景を流していくシークエンスが大半を占め、会話量も前者2作の作風と違っていて控えめ
またベッドシーンや単純にエグい描写もあるため小さいお子さんと観に行こうとされる方がいらしたらオススメ出来ません；
暗転するカットで小さい子とか泣いちゃうよ！
（そもそもサマウォも時かけも全然子供向けじゃないわけだが、公式の宣伝文句が如何にも『家族向け』っぽいので忠告を・・・）
オイラなら堂々と【この作品は鬱アニメ】と言い切りますね
最低でも物語の最後に雨と雪が辿り着く12～3歳ぐらいにならないと、お話に着いていくのは難しいところ
その反面、本編内でもしっかりと描かれるのですが【物語を楽しむための読解力や感受性が身につく年頃】が12～3歳前後であるとも感じられました
ですので、そのぐらいのお年頃のお子さんをお持ちの方には逆に是非とも親子で観に行っていただきたい作品です
やれネグレクトだの、やれ学生が自殺しただのが声高に叫ばれる世の中ですが、ニュースになっていない辛い出来事や悲しいお話なんかはオイラ達の日常に溢れているわけで・・・
恋して、子供産んで、叱ったり喧嘩したりしながら、一人前になるまで育てて、そして巣立っていく・・・ってそんなことがもう十分『波乱万丈』だし、そうやってみんな大きくなってきたんですよね
そんなオイラ達の日々に溢れている『ドラマティック』をかき集めた珠玉の一作でした
明白に【悲しいお話】だとオイラは観ているんで、「夢に浸りたいから欝は嫌ぁーよ」ってお方は後回しにしていただいて結構です
細田守監督としては初の完全オリジナル作品（詳細は素振りさんのレビュに）
そもそも『子育てモノ』をやると決まった企画会議で狼男を絡めてみると面白そう、となってメインアニメタの方が「そういえば四足（動物）を描いたことを無いなぁ・・・」という発言をされたそうな
かつては手塚治虫のジャングル大帝、或いは犬や猫を主役とした往年のディズニー作品など、数多くあったはずの動物モノの作品群も昨今では絶え絶えになり、その動きを手描きアニメーションで描写するという技法も失われつつあるのが現状
細田守も「イマドキ感はあれど、今やらなければいけない」という気持ちになったとか・・・
また、今作で数多く導入された映像技術の中でも特に目立つのがCG
美術スタッフの手掛けた美しい背景画をパーツごとに細分化し、CGに貼り付けることで『背景画を動かす』ということにチャレンジしています（特に冒頭の花畑やラストシーンの入道雲に注目）
これに関しては成功というか、素晴らしい試みだったと評価したいです
しかしながらこれをいいことに、メカ類ですら手描きアニメートしてきたかつての細田守作品と違い、メカ～自然～都会の人混みなど、かなり多くのシークエンスでトゥーンシェードでの表現をしているのはいただけない；
特に今年はCGを用いない手描きの自然表現に拘った作品である『虹色ほたる』を視聴したこともあって、今作が日本独特の手描きアニメートと米国ピクサーをはじめとする3DCGアニメとのアイノコでしかない、という中途半端を感じましたね
ってことで映像面では若干に期待を裏切られた感が；
主演声優に出産経験の無い宮崎あおいを起用したことには最初疑問を感じてたのですが、そもそも役者経験、声優経験共に豊富な宮崎あおいにオイラごときがするような心配事ではなく、そんなことよりも雨と雪を演じた4人の子役に拍手を送りたいというキモチと
菅原文太さんやっぱ歪みねぇな！ってキモチでもう胸いっぱいｗ
アコギやピアノなどアコースティックな楽曲と、打ち込みによるコンピューター音楽とがそれぞれの持ち味を出しつつ（雨漏りのシークエンスや雪と草平の最初のやりとりに注目！）全体にはイージーリスニング風にまとめられた高木正勝さんの劇伴や主題歌も素晴らしかったですね
{netabare}それにつけても雨と雪が可愛すぎて悩ましいですな＾ｑ＾
思春期女子にとって「獣臭い」は衝撃の一言でしょうしｗ雪と草平くんのやりとりは小学生なのにｷｭﾝｷｭﾝしますぜｗ
対して雨の成長ぶりもまた微笑ましく「へーきへーきしてぇ」と甘えてたｶﾜﾕｲ雨ﾀｿがだんだんお父さんに似てﾋｮﾛっとした細身と猫背気味になっていくが目つきの鋭さはやはり狼譲りなのが面白いｗ
ってことでキャラ評価は堂々の5点ですよｗ
{/netabare}
そういえば原画に（犬の擬人化を得意とする）坂崎忠さんがいたのには妙に納得したｗｗｗ
