無毒蠍 さんの感想・評価
2.9
物語 : 2.5
作画 : 3.0
声優 : 2.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
少年漫画的な盛り上がりは薄く、シャンバラのほうが面白く感じました。
この作品は鋼の錬金術師の第二期にあたる
鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMISTの劇場版になります。
FULLMETAL ALCHEMISTのTVアニメは観ておらずシャンバラからそのままミロスを観ました。
まず最初に気になったのが声優さんの変更ですよね。
大佐の声が三木さんというのには違和感…カッコよすぎます。
それと三木さんじゃあたりさわりがなさすぎて面白みがないんですよ。
大川さんのほうが色々な大佐を演じれてたと思いますが
三木さんは何やってもカッコいい大佐でしかありませんでした。
物語は脱獄した錬金術師の囚人メルビン・ボイジャーを
エルリック兄弟が追いかけるところからスタートします。
あと二ヶ月で釈放されるはずだったのに脱獄したメルビン…
その理由も物語の重要なポイントになっていました。
エルリック兄弟でさえ知らない未知の錬金術を使うメルビンはかなりの使い手でしたね。
エルリック兄弟がメルビンを追跡中に出会ったのがジュリアという少女です。
彼女は黒コウモリというレジスタンス組織に所属していてミロスの独立のために戦っていましたね。
アメストリス、クレタ、そしてその二つに挟まれているのがミロスの民たちです。
ミロスはレジスタンス活動を通して国の再建を求めていたみたい。
こういった国とりがテーマのせいか少々冗長で地味に感じました。
虐げられて苦しんでる人間の話なんてハガレンでとっくにやってきたことだし今更じゃないかなぁ。
わざわざ劇場版でやるほどの話だったようには思えません。
ジュリアには生きてるのかさえわからない兄がいるのですが
序盤でメルビンが兄であると判明します。
普通に考えればジュリアを助けるために
無茶して脱獄してきた良いお兄ちゃんという感じなんでしょうが
残念ながら偽者だったんですよね。
目的は賢者の石…結局ハガレンはそこになっちゃうのかなぁ。
話的には特に驚きもない展開ばかりでした、
かといって王道というほどでもないし中途半端。
シャンバラほど見入ることはなかったです。
メルビンが本性をあらわしてからは怒涛の展開でつめこみすぎ…
正直そろそろメルビンが本性をあらわすだろうなと思って観ていましたよ。
その時にミランダも殺すだろうなと、アランも殺すだろうなと…
ことごとく予想通りに物語が進んでいったのも退屈に感じた理由のひとつかもしれない。
クレタのお偉いさんが本当の兄だろうなというのも普通に予想できましたし
もう少し驚きの展開がほしかったですね。
王道でやるにしても王道の盛り上がりというのが必要だと思います。
盛り上がらない王道展開とか最悪ですよ。
ジュリアの本当の兄が終盤やってきて偽者のメルビンを両親の仇ということで処刑。
しかし兄はかつてメルビンに重症を負わされていて生き延びるために賢者の石を使用していました。
なのでラスボスは賢者の石に心を喰われたジュリアの兄ということになります。
さぞかし盛り上がるバトルをしてくれるだろうなと思ったら
兄を倒したのが同じく賢者の石を使用した妹のジュリア…
これは萎えましたな…わざわざ劇場版でヒロインにかたをつけさせるとかないわ。
メルビンを倒したのは兄だし、その兄を倒したのが妹のジュリア…
そりゃ盛り上がらないまま終わっちゃうよ。
賢者の石とかは原作で語ってるんだから劇場版だからこその脚本にしてほしかったよね、
しょせんは原作の延長線上という感じでした。
原作からはみだしたシャンバラが面白く感じたのはそいうところにもあると思います。
それと大佐ね…序盤からちょいちょい登場してきたけど、
いなくても全然問題ありません。
終盤で戦地に赴いてきたからようやくここで活躍するのかと思ったら何もしてませんでした。
意味がわかりません…作中で鋼の行動に文句をたれてましたが大佐のほうがやばいでしょ。
まったくいいとこなしだよ?ジュリアの止血くらいか。
メルビンが偽者の兄でクレタの軍人が本物の兄でラスボスで…
この程度で物語を二転三転させたつもりでしたら甘すぎますよ。
作画のことはよく言われていますが物語が面白ければ気になるほどでもないと思います。
作画がよくたって脚本に不満があったら同じですよ。
これで酷評できるほどの出来だったらまだいいのですが、
ちょっとした王道展開をなぞっているのでそこまで酷いものでもありません。
まさしく中途半端という印象なんですよ。
アニメのオリストで数回にわけて放送すればよかったんじゃないかなぁ。
劇場版でやるには役不足に感じました。
【B+78点】