ローズ さんの感想・評価
2.8
物語 : 1.0
作画 : 2.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
萌えキャラ重視の作品としては良いかもしれませんが、歴史物と考えると駄作です。(酷評注意)
戦国ゲームが大好きな高校生・相良良晴(さがら よしはる)は、突然、戦国時代へタイムスリップしてしまう。
木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)と会うが、藤吉郎は死んでしまう。
さらにピンチに陥っていた美少女を助けたが、この人物は織田信奈という名前だった。
この世界では、織田信長が存在せず、織田信奈という女性が織田家の当主で天下取りを狙っていた。
良晴は信奈の家臣となり、信奈の天下統一を手助けすることになる。
歴史物に「もし○○だったら」というのは、かなりやりつくされた感がありましたが、まさか主要な戦国大名・武将を美少女キャラにするとは・・・w
墨俣一夜城や鉄砲三段打ちがでてきますが、ゲームや小説では有名かもしれません。
しかし、現在では両方とも否定的な考え方が一般的です。
話のベースになっていると思われる『信長公記』ですが、実は信長の家臣が書いています。
信長の家臣の記述なので100パーセント鵜呑みにできない、というのが普通の考え方になっています。
(それでも重要な史料であることに変わりはないのですがw)
桶狭間の戦いと金ヶ崎の退き口の間には、約10年の開きがあるのですが、何も説明がないです。
少なくとも、主人公の学ランはボロボロになっていても不思議ではないのですがw
信奈の服装ですが、無理に上半身をはだけた姿にしないほうがいいと思います。
女性用の上半身の下着ですが、現在の形になったのは近現代のようなので、かなり無理がありました。
日本における女性が下着を着用するキッカケになったと言われている、1932年(昭和7年)12月16日の『白木屋火災』を調べてみました。
話は有名ですが、事実とは違うみたいです。
しかし、戦国時代に現代のような下着を着用しているとは考えにくいのも事実です。
歴史物の大前提として、悪役を歴史上、実在した人物にするのはタブーだったりします。
旅をしている老人一行が権力を使って世直しをする、という某有名時代劇がありますが、この話の悪役は、代官や家老あたりです。
ここでポイントになるのは、その土地を支配している領主(殿様)を悪役にしていない所です。
自分の住んでいる場所の領主が悪役にされては、あまりいい気分がしないというのが理由です。
例外に『忠臣蔵』がありますが、愛知県吉良地方では、吉良上野介の評判は良いそうです。
この作品では、信奈を良い人にするために悪役を他の人に委ねています。
しかし、近衛前久という人物を悪役にするのは、いただけないです。
近衛家といえば、五摂家筆頭の名家で、藤原氏一族のトップです。
藤原氏と言えば、大化の改新で有名な中臣鎌足が天智天皇から藤原姓を与えられて、始祖となります。
幕末になって公家の数が約130家あるのですが、多くの部分を藤原系が占めています。
その上、1000年以上続いている家系なので、天皇家・宮家・大名・有名な寺社などと縁戚関係なっています。
また、全国に多くいる『佐藤姓』など、名字に『藤』という漢字が使われている家が多くありますが、藤原氏の血筋を引いていたり、自称・藤原氏の子孫であったり、何かしらの縁があるそうです。
(個別に調べるには、図書館の歴史コーナーにある辞典を使って下さいw)
自分が確認しただけですが、織田家も近現代に残っています。
しかし、有名なのは5家しかありませんでした。
(ちなみにフィギュアスケートで有名になった織田家の子孫ですが、歴史的にはあまり有名ではないです。)
近衛と織田、どちらを悪役にしたほうが波風が立たないか・・・分かりますよね^^
自分は日本史を専攻しましたが、戦国時代は専門外なので間違った記述があるかもしれません。
戦国時代が好きなマニアの方のほうが詳しいです。
主人公の相良は、信奈を『魔王』にしたくないみたいですが、日本史の中には『魔王』と呼ばれた人物が他にもいるので、気が向いたら調べてもらいたいです。
お酒の『魔王』を飲むのは、20歳を過ぎてからでお願いしますw
(20歳以上の人は、飲みすぎ注意!)
色々と重箱の隅を突くようなレビューを書きましたが、ある程度、酷評しないと怒られるという微妙な立場にいる事を考慮していただけると、恐悦至極に存じ申し上げ奉り候w
恐々謹言