忘れもの さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
胸を打つ青春の心・・・
孤児だったストイックでぶっきらぼうに見えるが、誰よりも思いやりを大切にしている主人公の麻郁と、生き別れの双子の妹を名乗る二人の女の子、明るく世話焼きだが肉親がいないという心の傷を負っている深衣奈と経済的な理由で里親のもとから離れることになった人見知りで世間知らずな樺恋が、家族愛と恋愛感情の間で揺れ動く姿が、生き生きと描かれています。
悩み、すれ違いながらも麻郁の家族を見捨てられないという言葉から一緒に暮らすことになり、家族としての思いを深め、あるきっかけでお互いを異性として意識していく流れは、私にとってすんなりと惹きこまれるものでした。
深衣奈の家事のスキルを駆使した快活で積極的な行動と、時折見せる繊細な心情、一本気なために不器用になってしまうところは、背中合わせに寄りかかって甘えたくなってしまうとともに守ってあげたくて、心をかきむしられます。
樺恋が見せる無意識で純粋な心情の吐露、変えられない流れの中で折れそうになりながらも三人の関係を守ろうとするか弱くも真っ直ぐな姿には、美しい心を見つけ、その清らかさに包まれて胸の締めつけを覚えました。
また、麻郁の家族を守りたいけど、上手くそれを言えないところ、相手のことを意識しているのだが、家族としての感情や彼の生真面目さから、どうしていいか整理できないところは、ヘタレ主人公とは違う、スマートさと実直さを保とうとする、もどかしくて初々しい感じが好印象でした。
麻郁、深衣奈、樺恋の思い悩む姿と、一緒になって悩み、そして助けてくれる先輩、友人、先生の存在も鮮やかに、エッセンスとして時には軽快に、心をくすぐりながら表わされていて、シリアスすぎない気持ち良い視聴感があります。今でも私の中で最も記憶に残っている一番におすすめしたい作品です。