番頭 さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
オタク目線を意識していない自然な女の子青春アニメ
俺はいわゆる「オタク要素」「萌え要素」の入濃いアニメは嫌いである。
ストーリーで引き込まれても、キャラ設定(やたら目が大きい、やたら胸がでかい、(またはつるぺた系とか)やたら露出が多い、美女キャラばかりな、無駄にメカメカしいアニメなどは気持ち悪くなる。
台詞回しに現実味のないアニメも嫌いである。
いや、一応評価の高い作品は観ているし、見始めればストーリーに引き込まれてハマると言えばハマるのだが、やっぱ気持ち悪い。
CLANNADとかエヴァとかインデックス&レールガンとか、化物語とか、いや日本のアニメの8割ぐらいになってしまうが、女どもがイタくて(男の行動も大抵イタいが)虫酸が走るのである。
(じゃあ見るな、と言われても、面白いかどうかは別なので、面白ければ見ることは見る。)
けいおん!は俺が見たアニメの中で、キャラがとても自然で、キャラ設定、ストーリー、ほか、「オタク目線」を全く意識せずにキャラの魅力を存分に出しているアニメとして、俺の中の気持ちいいランキングが非常に高い。
原作がギャグ系ショートストーリーなのが功を奏したか、監督が同世代(というかさわちゃん世代?)の女性だからか、とにかく「男目線を意識しない女の子の青春」を丁寧に、且つ生き生きと描いている。彼女たちの日常にあこがれ、喜び、考えさせられ、共感できる非常にハイクオリティな青春・学園アニメとして、素晴らしい出来であった。
難点はアニメやストーリーのクオリティーとは別にある。
1つは、やはり声優が「アニメ声」であること。実際の女子校生に「アニメ声」な子はあまりいない。声を「作っている」点がリアリティーレベルを下げている。もっと自然な声であって欲しかった。日本のアニメにそれを要求するのが無理なんだろうけど、普通の女子高生をオーディションで選ぶとか、とにかく「アニメ声優の声」じゃなければどんなに良かっただろう。
2つめは曲のクオリティが高いこと。いや、高すぎること。
OP,EDはストーリーから離れているのでクオリティーが高いことに異論はない。しかし、やっぱり「プロが作った曲をプロが弾いている」から、演奏シーンが「一から作った軽音楽部」に見えない。全く見えない。緊張しているはずのボーカルの声が良すぎるし、走っているはずのドラムとか、よれているはずのギターとかが「台詞の上だけ素人」なのが、リアリティーを壊している。「演奏はあまり上手くない」ようには全然聞こえない。唯の天性の才能(絶対音感・感覚で物事を捉える野生・ハマリ性)を持ってしても、数ヶ月の練習でこんなクオリティーになるわけはない。そう言えば憂が影武者になったときの巧さも面白かったがリアルじゃない気がする。
唯が喉を壊してガラガラよれよれ声でコーラスを歌った第1回学園祭は「よく頑張ってよれよれ声を作った」と思うが、初ボーカルの澪の声は緊張のかけらもないし、一年生バンドのくせにクオリティが高すぎる。
いや、「ド素人の曲を乗せろ」とか「ド素人に歌わせろ」と言っているわけではないんだけど、やっぱり「リアルじゃない」のが嫌なんだ。
それぞれの声優さんがこのアニメのために声のキャラを作り上げ、歌を特訓し、楽器まで特訓しているのは頭の下がる思いである。
でも、やっぱり「最初っから完成されている歌声と演奏(曲作りも)」はちょっと鼻白んでしまう。
ドキュメンタリーじゃなくて、プロが作ったアニメだから、クオリティーにこだわった作品だから当然、なんだろうけど、俺にとって「歌&演奏がプロ過ぎ」なのが残念なんだ。むしろAKBとかハロプロあたりの若手にやらせた方がリアルだったんじゃないか。公開オーディションで実際に軽音部に所属している女子高生を集めて、キャラ、演奏、歌をやらせた方がよりリアルなんじゃないか、とか思ってしまう。
クオリティー高いことに駄目出しって、変な感想だよね。
それから、これだけ楽しくて演奏が上手くてお茶とお菓子が付いてくる軽音部に、新入部員が梓一人だけ。翌年は一人も入らないって設定は原作を踏襲しているだけにリアリティーを下げている。
まあ、キャラが少ない故にキャラ立ち効果満点だが、憂が軽音部に入らない理由も語られず、コンサート満員御礼なのに部室に来る生徒も少ないなんて、やっぱり無理がある。
「独特の雰囲気に入り込めない」のは分かるが、「澪ファンクラブ」も有るんだから、実際にこんな部があったら帰宅部の連中とか文化系の連中のサロンになりそうなのにね。
そうそう、律の弟とかガキの声を女性の声優がやっているのも日本のアニメでは古くから当たり前なんだが、おれはこれ、小学生の頃から今までずっと違和感有りまくりなんだよね。
けいおんは女性キャラばかりなので、そういうシーンが少なくてようござんした。
はい、文句ばかりでごめんなさい。でも、すごく感動しましたよ。