ぶっかけ さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
マイナーの意地と情熱ここにありけり
題材は百人一首を用いた競技カルタです
こんなニッチな要素が軸というだけで興味を減退される人も少なくないでしょう
しかし、ちょっと待った
百人一首なんて知らなくて当たり前だよ。百人の歌人のおセンチを綴った歌集に興味なぞ無いわ!
それが普通
そして本作の真骨頂は普通の人達にとってそういう位置づけでしかないこのテーマを、初心者でもわかるように丁寧なガイダンスなど踏まえながら、実に見事に観れるモノどころか惹きつける作品に仕上げている点だと思う
基本的に特定の文化を題材にしたマンガはその愛好家が読むものであるから、知名度の高いものほど作品として扱われ、その数も多い
商業観点から考えて合理的だし、馴染みが深ければフォーマットはあるので作品作りも容易。なによりそこにはニーズがあるのだから当然のことだ
で、百人一首である。正気か?
セパタクローや水球を題材にして、はたして読む人がいるのか。そういうレベルの話と捉えて頂いて構わないし、そう考えればこの時点で何か胸に熱いものが沸き立つ気がしないでもない
私は折に触れて、低競技人口のスポーツに真摯に取り組む人達の動機とモチベーションについて疑問を抱いていた
数ある競技の中でそもそも何故それを選んだのか
何を何処を目指すのか…
選んでもいない私にこの正体が見えることは無かったが
本作を観てその一端程度は理解することが出来たように感じる
「ちはや」に登場する人物達は高校生だ
若い彼らは青春を懸ける場所を探している
奇しくも出会ったのは競技カルタ。
大切な時を懸ける価値に首を傾げそうなこのスポーツは間口に立つだけでも容易なことではない
彼らがそこに至る動機と、そして何であろうと選んだからには真摯に向き合い戦う生き様を十二分に魅せ、三十路を過ぎたおっさんの目頭を熱くさせることもしばしば
日々向き合っている事柄に心が折れそうな方には是非ご覧になって頂きたい。必ず元気を貰えるはずだ
「何を選ぶかではなく、選んだものをしっかりとやり抜くこと」
それこそが大切なんだと作品が絶叫している