チョビ髭 さんの感想・評価
4.6
物語 : 3.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
演出店の妙?思った事をつらつらと(原作未読)
西尾維新×シャフトによる大ヒット作品のコア。その後のシリーズは魅力が半減するがこの作品だけは別とよくいわれる。私もその意見に同感。もちろん“慣れ”というものが大きく作用しているとは思うが。
今をときめくシャフトといえばビビットな色遣いや珍妙なポージングの“シャフ度”それらはキレるなどといわれ視聴者の心に刺さる、謂わば“フック”のエッジを指して称賛される。
そしてこの作品はフックの専門店を散策しているかの作風こそが最大の見所なのだと思っている。もちろん私は業界の人間などではなく一般の視聴者だ。それでもDIYのツールコーナーや、専門職の特殊工具を見て回っている時に感じる興奮の様なものがある。
> 是、取り出したるは“難解言い回し”押井守作品で見かけられしフック。今日紹介するはフラッシュ演出と古典文字表現とを組み合わせての新商品。目にも止まらぬスピードで視聴者心をくすぐれば効果はこの通り。
こんな感じの解説を通販番組ばりの実演まで交えながらしてくれている様感じる。これこそが独自色だったのではないだろうか。
・落ちもの(ラピュタ>フィクションならでは至高の出会い>アニメーションならでは演出)
・抽象化した日常空間(幾原邦彦?>憧憬空間/未来〃/パラレル〃)
・抽象化した背景に観える幾何学美/自然美/伝統美
・アニメの妙を逆手に取った小物遊び
・電信柱(視聴者へのシンパシー≠描写力の顕示>新次元)
・タッチ変え-実写/etc.
・ポージング(モデル立ち>ジョジョ立ち>シャフ度 共通点:アイキャッチ)
・難解言い回し/長台詞
・フラッシュ
・グーグルグラス-パンツ●REC/羽川をシャーペン影絵弄り/etc.
・アニメならではのとんでもアングル
・アクション-街を破壊>フィクションの醍醐味/殺陣-士郎正宗?>カット割り/etc.
・血(痛覚属フック)
・刀(多分痛覚属:銃が身近で無いからか?物理的に疑似体験しているから?)
・食べ物-ドーナツ/etc.(味覚属フック:俺らの美味そうをキャラも美味そう=シンパシー)
・怪異(妖怪の独自のゾーニング-ビジュアル化)
・ケモノミミ(リアルと虹を結ぶ最強アイテム 仲間:つの/しっぽ/etc.)
・萌えキャラ
・大人キャラ-忍野/貝木/斧乃木
・キャラフレーズ
・キャラソン/BGM
・造語-蕩れ/不明(キャラフレーズの仲間?流行語狙い?面白いフックではあった)
・エロ-ペチーン>やわらか>天然よ/etc./etc.
・
・
*ちょっとその後のシリーズアイテム混ざってそうとか気付けなかった、うまく表現できない、思いだせないとかある気もしますので脳内補填して下さい。随分時間経過しちゃって(言い訳)後で時間できたらry
これらのフックは他のアニメではここまで頻繁に変更しながら、または同時並行的に使用しないのが常識だったのかと思う。何故かを考えると【演出】についてここまで深く考えていなかったのではないか、新たな【魅力】を独自で開発することへの挑戦で手いっぱい、もしくはこの作品の様に【フック】が目立つ状態を自然な文章を目指す上で嫌った、などの理由ではと思う
しかしやってしまった。しかも華麗に。初めて視聴した時なんなんだこれは、と思っているうち12話が終わってしまった。そしてその後H.P.にて15話迄続いた無料公開。
なんだかわからんがすげーな、本気だな、などという自分の中では最強のアンカーがそこで発動され一本釣りされることに。(これもデザインされたフックだったのかと今は訝しむ)
その後の展開はシリーズものの常。続編的、囲った視聴者へのサービスであり、ギラギラした鉤を投げるような事は必要無くなったのかもしれない。キャッチされた視聴者はこれまでのそれによって釣られた魚なのだから、これまでのネタを投げてやればよいという方針か、もしくはそうそう新作は生まれないとの事情もありえる。が結果その妙味は鈍くなる。
“演出のPV”とも呼ぶべき本作、これはもう金字塔として新たなものに成りえたのではないだろうか。追従者は二番煎じ。そうとう斬新な品ぞろえ且つストーリーの犠牲を覚悟しなければ並び立つことは難しいだろう。と同時にフック屋本舗、それは演出のシャフトを代表するタネの本舗を意味することになる。
今後、新たな演出が開発された際、後続シリーズで取り上げられるのかシャフト新作で使われるのか分らないが、できれば同のれん店にもフックだけでも陳列してもらいたいと思っている。
それが贔屓店であるからか考察を立証するための願望なのか自身で判然としない点がこのレビューの問題ではある。続編を視聴している現状も二者のどちらかなのだろうが、どちらにしても同義の説明になってしまったりするからだ。
原作:西尾維新
監督:新房昭之
キャラクター原案:VOFAN
キャラクターデザイン・総作画監督:渡辺明夫
ビジュアルディレクター:武内宣之
美術監督:飯島寿治
色彩設計:滝沢いづみ
撮影監督:会津孝幸、江藤慎一郎
編集:松原理恵
音響監督:鶴岡陽太
音楽:神前暁
アニメーション制作:シャフト