STONE さんの感想・評価

3.3
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態：観終わった

主人公がアッカリーン状態

　原作は未読。
　話は樹教授のゼミの面々のドタバタした日常を中心に描かれているが、これが主人公の
直保が「菌を見ることができる」という設定なしで成立してしまうものが大半。
　直保の特殊能力こそ、この作品ならではの個性なのだが、それがうまく生かされている
とは言い難い感じ。
　おまけに直保は特殊能力こそ、他人が持ち得ないものだが、性格などはゼミの他の
メンバーと較べても、オーソドックスと言うか、普通と言うか・・・。
　更に彼自身が率先して行動するようなことがあまり無く、他に追随しているか、菌を観察
するかのように、ゼミのメンバーを観察しているのがほとんど。そのために主人公であり
ながら、非常に影が薄い印象。

　樹ゼミは楽しげで、おまけに長谷川遥、武藤葵、及川葉月ときれいどころが揃って
いるが、ゼミ内での恋愛関係は一切なし。
　美里薫、川浜拓馬は典型的ダメ学生キャラだし、イケメンな結城蛍はいつの間にか
ゴスロリ美少女になっちゃうしで、こうなると他作品なら直保のハーレム状態になっても
おかしなくないのだろうが、先に書いたように影の薄い主人公のせいか、何も起きない。
　この作品に関してはゼミのワイワイ感が作品の空気感を醸し出しているように思える
ので、恋愛要素が無くてもいいかなって気がする。

　ゼミでワイワイやるのはいいのだが、その分ストーリー自体はおざなりになってしまった
ような。
　ゼミをあげて取り組む発酵蔵の計画はちっとも進行しないし、長谷川遥の家庭環境の
問題もその後触れられないまま終わってしまったし、結城蛍の心情の問題もあまり掘り
下げがないまま、いきなり女装するようになってしまったし。

　舞台である農大は、やはり通常の大学とは異なる特異な環境のようで、普段見られる
ことのない世界が垣間見られることに面白さを感じた。
　まあ、コメディであるため、どこまでがリアルで、どこまでがフィクションなのかは
判らないけど。

　主人公の特殊能力が生きたのは、本筋よりむしろ可愛らしい菌達が色々と語ってくれる
こと。
　加えて菌劇場の存在もあって、作品に対する面白い・つまらない、好き・嫌いは別に
して、菌や発酵についての知識は相当に付く。
　結構、ためになった。