無毒蠍 さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
善悪とは何か…Dは今回の仕事で何を想ったのだろうのか…
当たり前だけど作画がすさまじく進化してるー!
前作から続けて観てるとすごいギャップですよ。
今回は少し考えさせられるようなお話でした、
Dも少し戸惑ったんじゃないかなぁ。
バンパイアと人間の混血児であるダンピール…それがDです。
バンパイアハンターを生業としている彼が今回受けた依頼が
バンパイア貴族にさらわれたシャーロットという娘を奪い返してほしいというもの。
奪い返すといっても事情は少々ややこしくて、
貴族であるマイエルとシャーロットは相思相愛なんですよ、
普通じゃ考えられないことですよね、つまり二人からしたらほっといてくれという感じw
しかしそんな事情はお構いなしなのがDなのですw
どこまでも渋くてカッコいいですよ。
相思相愛だろうが二人の仲を引き裂こうと奔走するD…
視点をかえれば完全にこちらが悪役です。
そして貴族のマイエルがまたカッコいいんだよなぁ。
前作に登場したクズ貴族もいればマイエルのような紳士もいるんですね。
マイエルは貴族でありながら人間を手にかけないことで有名らしい。
そんな彼もシャーロットに心奪われるのですが、
ハンターに追われてる道中も逃げるばかりで全然攻撃的じゃないんですよね。
護衛についてるやつらは攻撃的ですがそいつらもマイエルが雇ったわけじゃないし。
そもそもマイエルの目的はシャーロットと星々の地に旅立つことだったんですよ、
つまりお空の彼方のことなのですがそこでシャーロットと二人誰にも干渉されずに
静かに暮らしたいだけだったという…
しかし他の者からみたら彼が貴族である以上許容しがたいものがあるみたいだね。
そして今回はDの同業者であるハンターのマーカス一家が登場し物語を盛り上げます。
前作ではD以外のハンターなんてセリフの中でしか登場しませんでしたしね。
実績的にも多くの貴族を葬ってきてるらしいマーカス一家!
貴族に対抗できるのはDくらいかと思ってたのですが
意外と歴戦の猛者であるハンターなら倒せるんですね。
貴族もピンキリということでしょうか?
このマーカス一家がDとはまた違った見せ場を多くみせてくれていいキャラしてました。
まずノルトね、ファミリー一の巨体でハンマーというか槌のようなものを振り回していました。
一番最初に戦死したキャラでもあります、
マイエルの護衛についたバルバロイ一族の三人衆、そのうちの一人ベンゲに殺されちゃったね。
このベンゲというキャラは影から影に移動し相手の影を刺すことでダメージをあたえる使い手でした、
ノルトもベンゲに影を刺されて…
次がカイルという男、ファミリー内では小柄な男ですが
円月輪じゃないですけどそれと似たような飛び道具を使ってましたね。
シャーロットを奪い返したときにマイエルが馬車から降りてきたんですよ、
貴族は日差しの中では生きられないので激しく傷つくマイエル…
しかし彼はそんな傷など気にもせずシャーロットを奪い返そうと歩いてくるんです。
それをみて下品な笑いをあげていたのがカイルw
かなり性根が腐っているというか、まぁ相手が貴族ならこんなあつかいなのかな、世界観的に。
それでもあきらかに悪役はマーカス一家でしたなw
その後すぐに三人衆が一人マシラに惨殺されました。
やはりあれは死亡フラグだったのか…
ボルゴフという男はマーカス一家のリーダーなのですが仲間意識の強いやつでしたな。
ノルトやカイルが死んだときに傭兵らしからぬ顔をしていました。
終盤では仕事どうこうよりも仲間の敵討ちというか、
いまさら引き下がれないという心境でいたみたい。
黒幕のカーミラの幻術にひっかかって死亡。
この幻術が死んだはずのノルトやカイルが目の前に現れるというもので
どれほどボルゴフが仲間を愛していたのかがうかがいしれます。
グローヴは寝たきりの病弱な男性ですが薬物投与でチート化しますw
なんか幽体離脱みたいなことをして浮遊してました。
そしてビームのようなものを体中から射出w
もう意味がわからない、火力高すぎw
マーカス一家のジョーカー的存在でしたね。
ボルゴフが死亡後吸血鬼と化してレイラを人質にするのですが
単身ボルゴフに突っ込みグローヴもろとも死亡しましたw
恐ろしい自爆だったぜ…
そして忘れちゃいけないのがマーカス一家の紅一点レイラです。
とある事情から吸血鬼やダンピールを憎んでいるレイラは、
Dを汚い罠にハメようともしました。
マーカス一家で唯一生き残ったキャラです。
強くたくましいヒロインでしたね。
個人的に好きなシーンはDとレイラの会話ですかね。
「それが哀れだと思うなら私のお墓に花の一輪でも手向ければいいわ。
あんた余計なお節介好きそうだから。
そうよ…約束しない?もしあんたが生きてたらそうしてくれるって…
そのかわりあんたが死んだときはあたしがそうするから。
いいんじゃない…一人くらいそんな事してくれる相手がいてくれても。
ふふ…くだらない、どうだっていいわ」
「約束しよう…ハンターとして死んだものに…墓があれば。」
このシーンはとても重要なシーンなんですよ、
EDで何十年後かはわかりませんがレイラの葬儀がとりおこなわれてるんです。
それを遠くから見守っているD…
Dは何十年も前にレイラの墓に「花を手向ける」という約束を果たしにきたんですよね、
いや~、まじで漢だわ。カッコよすぎるでしょw
しかしDは花を手向けませんでした…
レイラは「いいんじゃない…一人くらいそんな事してくれる相手がいてくれても」
と言っていましたが孫娘をはじめ多くの人間がレイラに花を手向けていたんですよね。
それをみてDはレイラが後に幸せな人生を送ったと悟り
自身が花を手向ける必要はないと感じたんです。
このEDへのつなぎは見事でしたね、
後に幸せな人生を過ごしたレイラとDの孤独さが浮き彫りになったシーンでもあります。
名台詞に名シーンが多いのがバンパイアハンターDの魅力でもあるのかな。
もう一つ印象に残ったセリフがあります。
なぜハンターを続けているのかというレイラの質問に対し
「俺はダンピール…人間としては生きられん」と答えるD…
バンパイアと人間の混血児なのにまっさきに人間としての回答がでてくるあたり、
やはり人間として生きることに強い憧れがあったりするんでしょうかね。
そもそもマイエルとシャーロットが結ばれればDと同じダンピールが生まれてくる。
Dはそれを一番恐れていたような描写もあります。
ダンピールとして生きてきたDだからこそ許容できないのでしょう。
貴族が闇だとすれば人は光…
闇が光に恋するなどあってはならないのかもね…
最後はD対マイエルという展開になりますが黒幕は別にいたんですよね、
マイエルもシャーロットもカーミラという貴婦人に利用されてたのです。
なんか自身の朽ちた肉体をシャーロットの血を使い復活させようとしていましたが失敗…
Dの本性をひきだそうとしてDの中の魔性をひきだしてしまいました。
神祖の血を引くDはバンパイアモードになると敵なしだね!
シャーロットの亡骸を抱きしめ抱擁するマイエル…
バンパイアを憎むあのレイラでさえ銃の引き鉄をひくことはできませんでした。
しかしDは違います…その光景を前にしてもシャーロットの亡骸とマイエルの命を望みます。
ここらへんがやっぱそこらへんの主人公と違っていてカッコいいですな。
優しさと厳しさを兼ね備えた理想の主人公といえるでしょう。
最終的にはシャーロットのしていた指輪を形見として依頼主に渡すことにし、
シャーロットの遺体をマイエルにゆずり見逃しました…
自身の仕事が達成できれば融通もきくところなどDはいい男ですな。
ぶっちゃけDは強すぎるので苦戦シーンなどはあまりないのですが、
Dの圧倒的強さ、カッコよさを楽しむのがこの作品ありかたなんじゃないかな。
バンパイアハンターDの映像化は絶対続けたほうがいいですよ。
それだけのポテンシャルを秘めた作品だと思います。
【A82点】