STONE さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
言葉では伝えられない魅力満載
原作は未読。
ストーリーは怪異に魅了された少女5人を主人公が救っていくというオムニバス的もの
だが、怪異への対応は通常の退魔モノに見られる法力や霊力を使っての大バトルといった
ものではなく、登場キャラの忍野メメのセリフである「勝手に助かる」といったところ。
この辺は怪異に遭遇してしまった理由が、そもそも見舞われた側である少女の心に問題が
あった場合が多く、単純に怪異を取り除くより、見舞われた側自身への対応の方が問題
解決に有効であるためか。
そういった意味では京極夏彦の小説に見られるような、当事者の意識によって初めて
怪異が生じるようなスタンスに近い印象。
少女の心の問題と言えば、それぞれのキャラはいずれも魅力的ではあるが、こと他人との
交流という部分に関してはいずれも不器用な感じ。
神原駿河は後輩に慕われているようだし、羽川翼は先生やクラスメイトの人望が厚いが、
いずれも表面的な付き合いに留まっているようで、本質的な部分での交流は得意では
なさそう。
それゆえに余計に自分の心における闇の部分が深く、そこが怪異に取ってつけ込まれ
やすかったのかなと思える。
他人との交流が不器用という部分に関しては、主人公である阿良々木暦も似たような
印象。
自己犠牲的な行動が目立ち、そのために積極的に怪異に関わってしまう阿良々木君だが、
自分も怪異に見舞われた経験を持つという境遇的な共感だけでなく、性格的な部分でも
シンパシーを感じていたのかな、と思ってしまった。
派手なバトルなどはないため、ともすれば展開自体は地味に映るかもしれない。
しかし、独特の空気感、かなり個性的なキャラ、そのキャラ同士の味のある会話など、
この作品でしか得られないものが非常に多く、凄く個性的な作品。
作画も独特で今風のクールな絵に、戦前のモダン感覚をぶち込んだような独特のもので、
これに加えて劇団イヌカレーのアーティスティックな映像を挟み込んでくるものだから、
もう他作品では絶対に見られないもの。
こういった魅力は言葉にできるものではないため、もう見てもらうしかないなあ。