ローズ さんの感想・評価

3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態：観終わった

骨まで愛して……

学校の旧校舎の中で迷ってしまった新谷貞一（にいや　ていいち）。
奇妙な女子生徒・庚夕子（かのえ　ゆうこ）と出逢い、成り行きで怪異調査部を作る事となる。
悩み相談に来た小此木ももえ（おこのぎ　ももえ）と貞一が見た夕子とは別の夕子を目撃して警告に来た庚霧江（かのえ　きりえ）の２人が怪異調査部へと入部する事となり、夕子の忘れている過去を調べる事となる。

夕子は幽霊と言う存在なので、ジャンル分けをするとなるとホラーラブコメ作品だと思います。

夕子は幽霊ですが、大まかに内容を分けるとすると、明るい夕子と夕子の本質に迫る２つに分けられます。
（便宜上、明るい夕子＝表夕子、もう一つの夕子＝影夕子と表記します）

物語序盤から中盤の表夕子の行動は面白いです。
一番端的に分かるのは第一話でしょう。
AパートとBパートに分かれていますが、表夕子の行動によって怪異調査部の不思議な現象や人間関係が面白く描かれています。
幽霊でもお茶目な部分が魅力的です。

見た目や性格など影夕子は本来の怖い幽霊みたいな感じです。
しかし、夕子を形成するには不可欠の人格なので否定できません。
表夕子の持っていない負の性質を持っているので、ある程度、怖い存在になるのが当たり前なのですが……。

人間は誰しも正負を併せ持っている存在です。
そういう事を考えてみると、表夕子と影夕子との別人格がそれぞれ存在する事は不自然だと思います。
両者が交わるかどうかは……ネタバレですね＾＾；

アムネジアと言う単語の意味は記憶喪失。
表夕子と影夕子が分離する事をタイトルの時点で表記しています。
そう言えば『AMNESIA』という記憶喪失のアニメがありましたね。
（忘れないで下さいｗ）


OP曲
「CHOIR JAIL」
歌　鈴木このみ

ED曲
「カランドリエ」
歌　奥井亜紀

OP曲ですが、ドコドコとしたバスドラムの使い方やザクザクしたギターの音色、効果的なキーボードの使い方など非常に良く出来ています。
演奏に負けていない鈴木このみさんの歌唱力も相当高いです。
個人的な意見ですが、OP曲が良く出来ているのでED曲の印象が薄くなりました。
通常レベルだったらED曲もいい曲だと思うのですが、OP曲の出来が良過ぎるので仕方が無いかな。


ラストは予想できる範囲だったので、あまり驚きませんでした。
しかし、１クール・１２話で完結させる話であれば、非常にまとまっているように思います。
（DVDにはテレビ未放送の１３話が収録されているのですが＾＾；）

幽霊という恐れられる存在なのに明るい性格の表夕子に魅力を感じる事ができる作品でした。


【追記】
庚（かのえ）という名字ですが、十干を知っていると理解できます。
陰陽五行説なのですが、作品には関係ないので省略しました。