. さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
1度観ただけではストーリー・謎が理解出来ないでしょう。
結論から言いますと面白い作品です。
但し、それはストーリーや作中の謎が理解出来たならと言う条件付き・・・。
致死率100%であり、治療法が全く無い謎の伝染病”メドゥーサ”。物語はこの病気をもつ世界中の国から集められた160名を、コールドスリープと言う形で未来に希望を託す事から始まります。コールドスリ-プ施設は古城を改造した本当のお城。そして映画冒頭で読まれるいばら姫のお話・・・。物語はグリム童話のいばら姫をバックグラウンドに重ねて進行していきます。ちなみに”いばら姫”と聞くとピンと来ない方もいると思いますが、これは欧州童話で言う”眠れる森の美女”の事です。有名なお話ですので、みなさんご存じですよね?(もし知らなければ、これだけは読んでおいた方が本作品を深く楽しめマスヨ)
さて本作ですが、コールドスリープ後の変わり果てた施設からの脱出劇がメインとなります。自分たちがコールドスリープで眠っていた期間はどのくらい? そしてその間に愛する人達はどうなってしまったの? 世界は無事なの? こうした疑問を脱出劇の中で少しづつ解明していきます。
2Dと3Dを融合させた作画手法には残念ながら批判も多いのですが、私的にはそれは許容範囲。でもどうにも納得いかないのが謎解き・疑問の解明に対する中途半端さ加減・・・。意図して全てを解説しないと言うのも理解出来ます。が、本作はとても1度観ただけでは全てのストーリー・謎を理解するのは難しいと思うのです。よって、多くの方は消化不良を感じてしまうのではないでしょうか。この点が実におしい。
ストーリーは原作であるコミックとは異なりますが、劇場映画用に練られた非常に良い脚本。そして重厚な音楽。素材は良いのに、生かしきれていないと感じてしまうのは私だけでしょうか? せめてもう少しストーリーや謎について言及し、誰にでも内容を理解出来る様に構成してくれたのなら、相当面白いアニメですよ、コレ。本当におしい。おしい。おしいと言うのが私の感想です。
あ、そうそう・・・エンディングはMISIAで「EDGE OF THIS WORLD」です。これは私の神曲best10に入るお勧め曲! 是非聞いて下さいね。
~以下ネタバレです。但しあくまでも私的解釈です~
・本作はグリム童話のいばら姫とかけています。主人公の少女”カスミ・イシキ”が腕に巻いているブレスレットの識別番号は”KHM050”となっており、これはグリム童話の作品番号と一致します。本作は主人公といばら姫を重ね、またコールドスリープという題材でも”眠り姫”とかけているのです。
・冒頭でビルの上から落ちてくる女性はマルコの妹。
・ピーターはマルコの内通者。ピーターがマルコとコンタクトを取るために一時的にシステムを停電させた事が施設崩壊の発端。
・ヴィナスゲイトのCEO”ヴェガ”はオルタナティブ。アリス暴走時の1シーンで見えるブレスレットの反応を見ると納得。
・ティモシーはオルタナティブ。主人公を助けると言う目的の為、さりげない形でモンスターの特性や逃げ道を教える事が役目。少年のセリフで耳に付くゲームの話題はこの事の伏線。
・主人公であるカスミはオルタナティブ。姉との押し問答時に崖から転落し、死亡している。
・姉である”シズク・イシキ”が”カスミ・イシキ”のオルタナティブを作り、コールドスリープ設備の中に押し込めた
・従っていばらの城の最上階に寝ている少女は”カスミ”
・”シズク”は城と同化して存在が無い。
・作品は”人の人生は夢の様な物なのかも知れない、または誰かの夢なのかも知れない”、それでも”茨の様な困難を克服し”、”願いの無い所に奇跡は起こらない→願いを叶えるために前に進もう”と伝えたいのだと思います。