hiroshi5 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
功利主義の末路
忙しいので簡単に終らせます。すいません。
■作画
作画は前期同様素晴らしいものがありました。特に後半は良かったな~。
■声優
渋い!カッコイイ!
変わったキャラ、それゆえに生じる変わったセリフをさすが声優と言うべきか、見事に表現してました。
■キャラ
濃い。しかも、大人びている。個人的には子供の話より大人の見せる冷静さだったり安心感が好きなのでstay nightより良かったです。
■音楽
良かったけど・・・そこまで心に残ってないですね。すいません。OPのkalafinaは結構気に入りました。
■物語
過去編で突然新しい世界観が明らかになって個人的にはついて行くのが大変になりました(;^ω^)
ちゃんと魔術師が存在していい世界になってたんですねw
聖杯については私自身もあまり知らないので、なんともコメントできないんですが、切嗣が示していた世界観というか、物語が進行していた方向ってのはもろ功利主義だってのは理解できました。
功利主義の意味はユーティリティーにとって最大の利益を齎す選択肢を常に選んでいく、といったものです。
切嗣の場合は命の人数がどっちの方が多いかといった単純な例から矛盾点と末路を示していましたが、実は、功利主義ってのはそんなに簡単なものではありません。
功利主義に反論するのは色々ありますが、道徳主義が一般的に挙げられると思います。
代表的な例を挙げましょう。
あなたは橋の上に体の大きな人と一緒に立っているとする。ある時橋の下の高速道路で車が暴走しました。車が暴走する場所には道路工事をやっている人が3人います。このままではその3人は轢かれて死にます。しかし、あなたの隣にいる大きい人を押して橋から落とせば3人は助かるとする。さぁ、あなたはどうしますか?
この答えは簡単です。そのまま見過ごすです。
なぜか?
理由は道徳的に間違っているからです。
客観的には「押したらいいじゃ~ン」と抜かす人がいるかもしれませんが、いざ自分が押す側に立つと基本答えはNOです。
これは、全体的な利益が分かっていても自ら他人の生きるという生まれながら持っている平等な権利を奪うという(一人を殺すといこと)罪悪感からきていると思われます。
また、道徳的に考えても人を殺すという行為は何にも増して卑劣な行動ですから、許される筈もありません。
また、功利主義のもう一つの欠点は、人命の価値を明確な基準で表すことができないということにあります。
先ほどの例を応用すれば
体の大きい人は私が落ちて欲しいと言うなら自主的に落ちると言っているとする。しかし、彼の素性を聞けば大企業の社長で、彼が死ねば市場が大きく変動すると言う話だ。さぁ、あなたはどうする?
功利主義的に考えれば・・・どっちでしょうね?
社長という人もいれば3人の命だという人もいる。社長が死んだら、結果として3人以上が死ぬ事になるということがあったとしても3人の命には変えられない。なぜなら命は値段で図れないから。金融で動く市場はどうとでも対処できる、とも言うかもしれない。
基準が存在しないもの、命、感情、精神、将来の有望性などはいつも功利主義の敵です。
実はそういった不明瞭なものに価値をつけて判断したら良いじゃないか!っていう哲学者もいて、実際にやったんですけど色々批判を受けたようです。
企業でもこういったことはあります。ある車の企業が車の不具合を見つけた時に、全ての車を回収して修理するより、事故を起させて保険を払わせた方が安いと判断したそうで。その時の命の値段は8万だったかな?あんまり明確な値段は覚えていませんが、人命に関わる企業は時に人の命に明確な値札をつけて企業の総合的な利益を図ったりするのは時としてあるようです。
色々問題のある功利主義ですが、もともとこういった極端な考え方が正しい!てのも無いので臨機応変に利用していったら良いんじゃないでしょうか?