無毒蠍 さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
リョウの過去が牙をむく…シティーハンター最終章!
今回の敵は少し変わっています。
地位も名誉も金もあるTV局の社長、メディア王ジャック・ダグラス。
表向きはそうですが彼はかつてリョウと共に戦場を駆け抜けた傭兵仲間だったのです。
リョウ、ジャック、サユリは常に一緒で毎日を謳歌…
しかしリョウとジャックは二人ともサユリを愛してしまい決闘をするのです、
二人の銃の引き鉄がひかれようとする瞬間に飛び出すサユリ…
リョウは引き鉄をひきサユリを撃ちました…
そして二人のもとを去るリョウ…
裏稼業を続けるリョウと銃を捨て実業家の道へ進んだダグラス。
二度と交わるはずのない二人でしたが…
今回の出来事は上記のリョウの過去が大きく関わってますね。
事の発端はニュースキャスターの朝霧さやかにボディーガードを依頼されたことにあります。
さやかが言うにはメディア王ジャックは殺害されていて、
その現場を目撃した自分が狙われているので守って欲しいということです。
この朝霧さやかの声優さんが高山みなみさんで女の色気ムンムンという感じでよかったです。
珍しく報酬もっこり一発を了承してくれたキャラでもありますね。
上記でも書いたように事件の黒幕はジャックです。
なのに朝霧さやかはジャックは殺害されていて現場を目撃したと言っています…
ええ、完全に罠でしたねw
視聴していて彼女は何となく怪しいと思っていましたが動機まではわかりませんでした。
ジャックを殺害した組織は幹部連中に毒針つきの指輪をつけて管理してると言っていたので、
その指輪をしている朝霧さやかは脅迫されてリョウを罠にハメたのかなぁ、と思っていました。
もしくは黒幕の彼女とか。
黒幕の彼女と言うのは結構ちかかったんですけどね。
実はリョウに依頼してきた朝霧さやかは偽者でその正体は、
かつてリョウが愛したサユリその人だったのです。
心臓病を患っておりもうながくないジャックのために協力してました、
過去にリョウに撃たれたということもジャックの手助けをする要因になってましたね。
ジャックはTV局の社長なだけあってメディアの力を使ってリョウを追い詰めます。
リョウの写真を合成して朝霧さやかの誘拐犯にしたり殺人犯にしたりやりたいほうだいw
指名手配というのは作品のテーマでもありますしメインですな。
前作と比較するとシリアス色は薄まってると思います。
タイトルや指名手配という設定からしてやばそうなシリアス展開を想像しますが、
リョウじたいが指名手配犯になったのを楽しんでますので全然シリアスじゃありません。
むしろ従来の作品よりもギャグ要素が強かったとさえ思いました。
ジャックの用意した殺し屋に追われる日々ですが、
そんなのお構いなしで朝霧さやかとのひと時を楽しんでます。
指名手配といえば警察ですが、
こんな時は実に冴子の存在が心強いですねw
ジャックの手によって居所をTVで報道されてしまいそこに冴子率いる警官隊がやってくるのです。
冴子が一芝居うってくれたおかげでうまくやりすごせました。
冷めてるようでいて結構当たり前のように助けてくれましたねw
事情も何も聞いてなかったはずなのに…ありがてーなぁ。
海ホタル…いや海坊主も活躍しますよ。
リョウが指名手配されてから独自に調査し黒幕の正体に気づいた海坊主。
今回の相手はちょいやばめだということでその前にオレと決着をつけろと言ってきます。
海坊主がこんなふうにリョウのもしもの場合を考慮するのも珍しいですな。
まぁその決闘もジャックの邪魔があり有耶無耶になっちゃいましたが…
一通り逃げたらいよいよリョウが攻めに転じます。
そもそもリョウの口ぶりからして最初から黒幕がジャックだということ、
それに朝霧さやかの正体がサユリだということも気づいていたみたいです。
例え別人に整形していようともかつて愛した女を忘れるリョウじゃありませんでした…
サユリの芝居につきあったのはリョウにとって彼女といる時間が愛おしいものだったからでしょう。
それは別に今でも愛してるとかそういうことではなく懐かしさとか色々な感情があったんだと思います。
ありとあらゆるものを手に入れたジャックなのでもう他に何も欲しいものはないように思えますが、
彼にはあるのです…かつて自ら手放した望みが…
それは裏の世界No.1という称号です。
心臓病で死期の近い彼は全てを捨てリョウに挑戦してきました。
でも思ったのは色々と無茶しすぎだよね。
リョウの抹殺に失敗した殺し屋を自ら処刑してリョウの仕業にしたりしてたけど
今までメディア王として人生順風満帆にいってたひとでしょ?
世間の評判が良いかは知りませんが少なくとも悪くなかったと思います。
今まで会社の人間ともうまくいってたであろう男がいきなり豹変して
会社の部下を殺させたりとか考えるだけでも恐ろしいですな。
朝霧さやかが偽者だったとなると毒針指輪の話も気になります。
ジャックも殺されてなかったし、なら指輪の話も嘘?と思いますが
作中で毒針指輪によって殺された会社の人間がいるんですよね。
つまりこれはどういうことだろう…
ジャックは正攻法でこの地位までのぼりつめたのではなく、
サユリが言っていたように毒針指輪で幹部を管理してのぼりつめたということなのかな…
だとしたら最初からまともじゃなかったということなので豹変したことにならず納得もいきます。
そこらへんの詳しい説明が特になかったのは少し残念でした。
サユリが生きていたということはリョウの撃った銃弾は当たっていなかったということなんですよね。
銃弾はサユリが大切にしているロケットに当たりました。
サユリはずっと確かめたかったのでしょう…
ロケットに当たったのは偶然なのか…それともわざとロケットを狙って撃ってくれたのか…
ジャックと対峙するリョウ…
かつての決闘の時のような状況になり銃口を向け合う二人…
そしてそこに飛び出すサユリ…奇しくも完全にあの時の再現となってしまいました…
ジャックから放たれた銃弾はサユリを撃ちぬき、
リョウから放たれた銃弾はジャックを撃ちぬきます…
やはりあの時リョウはわざとロケットを狙ったんですよね。
同じような状況でサユリを撃たなかったリョウとサユリを撃ってしまったジャック…
あまりにも悲しい対比でしたね。
裏世界の人間としてもサユリを愛した男としてもジャックは敗北したのです。
サユリのロケットの中にはリョウの写真がありましたし、
彼女はなんだかんだいって最初からリョウを信じてたんだろうな。
不満に感じたポイントはジャックがイメージと違っていたことです。
リョウと同じ女を愛した仲間だったわけですから、
それなりに誇りのあるやつかと思いましたが意外と卑怯で姑息なやつでしたw
単身のりこんできたリョウをスタジオに追いこみ一騎討ちをするのですが
スタジオ内のカメラは全てジャックの手にするリモコンで操作できるので
リョウの居場所はジャックにはつつぬけw
裏の世界No.1にこだわるくらいなんだからもう少し男気みせてよ!
なんか勝てばどんな手を使ってもいいというような感じで残念でした。
まぁ心臓病を患っているジャックも満身創痍でほっといてもくたばりそうでしたが…
作画は前作のほうが好みでしたが不満に思うほどでもありません。
前作のセル画が良すぎたんですよね。
今回からCGを使ってるみたいですがあまりマッチしてませんでした。
良いと思ったポイントはEDですね。
シティーハンターの代表曲でもあるGet Wilにのせて流れるED背景が一筆でした。
リョウ、ジャック、サユリ…三人の傭兵時代の日々が静止画としてEDにつかわれています。
ジャックの印象が全然違ったんですよね、
卑怯で姑息な手段を使って笑顔とは無縁のような男が、
リョウとサユリを間にして笑っていたんです。
サユリの裸を前にすればリョウと同じスケベ顔にだってなります。
リョウと一緒に砂浜にもっこり作ってニヤニヤしたりもしてました。
そりゃリョウと仲良くなるはずだよね、同じタイプの人間だったんじゃん。
なんでこんなにもすれ違ってしまったのか…
EDラストの背景はジャックの寝顔のような死に顔でした。
あのED背景をみたあとだと少しジャックが可哀想に思えますね。
これはあくまで私の個人的な見解でしかありませんが、
あのEDの過去の映像はジャックの見ている夢なんだと思います。
死を切欠にジャックはようやく色々なことから解放されたんじゃないかなぁ。
死んで全てがリセットされたからこそ
リョウやサユリと過ごした時代に想いを馳せてるんだと思いましたね。
ジャックが意外と姑息なやつだったので評価は下がりましたが、
EDの演出が素晴らしかったのでそこで評価があがりました。
あのEDがなかったらジャックって姑息なやつだな、で終わってたと思うんです。
EDの後だとジャックもこんな顔して笑ってた時代があるのか、と思わされましたし、
三人の関係性がEDをみるだけでもよくわかりました。
シティーハンターはこの作品で終了なんですが、
ルパン三世みたいに毎年続けようと思ったら続けられた作品ですよね。
そう考えるとこれで終わらせてしまったのは非常に残念に感じます。
内容はザ・シークレット・サービスやグッド・バイ・マイ・スイート・ハートと比較すると若干劣りますが、
単体でみれば普通に楽しめますし何よりEDでキャラの一面を掘り下げてくれたのが好印象です。
劇場版&TVスペシャルは単巻リリースされていませんので、
視聴する機会は高額なDVDBOXを購入するしかありません。
なのでそういった理由からも埋もれてる作品だと思います。
DVDBOXを買えとは言いませんが機会があったら観てもらいたいシリーズですね。
【A82点】