たばこ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
意外と少ない、ナンパものアニメ(1期、2期のまとめ)
●おおまかなあらすじ
頭脳明晰だけど、極度のギャルゲーオタの主人公が、リアルの女の子らをひたすらく口説くアニメ。
金田一やコナンの推理モノをナンパに変換したようなアニメだ。
●ナンパものをアニメでやることの難しさ
ギャルゲーなんかと違って、アニメではナンパものって中々難しいよな、と前々から思っていただんだけど、このアニメはそこらへんを上手に料理したな、と関心した。
ゲームって、自分が主人公を操作するから、結構すんなりと「主人公=自分」っていう図式が成り立ちやすいので感情移入もしやすいんだけど、アニメだとそうはいかない。
アニメの主人公はゲームと違って、自分が操作しない分、どうしても言動とか感情とかの齟齬が生まれ易いというか、「俺ならこうはしないな」みたいなとこで、ギャップが生まれて、その結果上手く入り込めないってことは多々ある。
特に、ナンパものが難しいのは、主人公に自分を投影できないと、それは主人公=他人になってしまって、つまり、「他人の男が可愛い女の子をナンパする」っていう、普通の男にしたら非常に不快な話になってしまうわけですよw
けどこのアニメは、そこらへんを上手く回避した。
1:主人公のサイボーグ化
主人公の桂木桂馬だけど、こいつ驚くほど、自分の感情を見せない。ただひたすらギャルゲーに没頭する描写ばかりなんであるw肝心の女の子を口説くシーンも、自分の個人的な感情(好きだとか、愛してるとかw)をぶつけるんじゃなくて、まるで算数ドリルを解くかのように、機械的に淡々と口説き落としていく。だから、こいつはほとんど人間臭さが無いというか、もはやサイボーグだ。
そうすると、視聴者と主人公の心理的、感情的な乖離が生じなくなるから、見ている人が比較的簡単に「桂木桂馬=自分」っていう図式を受け入れやすい仕組みになっているわけだ。ここがまず上手い。
2: ヒロイン達の2.5次元化
あと、本作中では、2次元の女の子が2種類でてくる。
ひとつは、「ギャルゲーの女キャラ」と、もうひとつは「リアルのヒロイン達」。
もちろん、これはアニメなんで、どちらも2次元には違いないんだけど、「2次元アニメ(ヒロイン達)の中に登場する2次元女キャラ(ギャルゲの女)」っていうメタ設定によって、実質ヒロイン達が2.5次元というか、現実の3次元の女の子に一歩だけ近づくリアリティを持つことができる。
こういう、作中でのメタ発言とかメタ設定って良くあって、例えば、「化物語(偽物語だったっけ?)」でアララギが「アニメ化されないこと」を作中で皮肉るようなシーンがあるけど、これで視聴者はクスってくるわけ。メタ発言ってのは、アニメの世界から飛び出して、視聴者と同じ視点に立つタブー的な手法なんだけど、上手に使えば視聴者に親近感を与えたり、笑いを与えたりする効果がある。
本作は、これを上手に使って、ヒロイン達をある種のメタ的なヒロインにしたてあげ、視聴者によりバーチャル親近感を与えることに成功している。
というわけで、本来アニメだと難しいはずのナンパものを上手にやってのけたな、と。
ただ、各ヒロインのストーリーの質にバラつきが目立ったのが残念だった。
このアニメは、ヒロイン達の抱えるコンプレックス(心のスキマ)を桂馬が解消する見せ場のシーンで「カタルシス」を狙っていて、それこそが面白いんだけど、例えば、最後のヒロインの新米女教師(名前は忘れた)なんかは、そのカタルシスが弱い。というか、一切無い。
「理想を押し付けすぎる」っていう彼女の弱みに対して、「じゃあ、もっと理想を押し付けろ!」っていう、全く根本的な解決にならない助言を桂馬がするww
「へ?なんで?ww」
と首を傾げざるをえない。
こういう、重要なポイントで作りこみの荒さが目立ったのが実に痛い。
まあ、とはいえ全般を通して先に言ったように、設定自体は実によくできているので、かなり楽しめる作品だったので、よしとする。