無毒蠍 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
シティーハンター絶体絶命!?最凶最悪のテロリスト襲来!
TVスペシャル第二弾です!
少し古い作品ですが古臭さはあまり感じませんでした。
今観ても全然楽しめましたよ。
今回のお話は宝塚女優の真風笑美から兄を探してほしいと依頼されます。
そして念願の再会は思わぬかたちで果たされることになるのです。
今回のヒロイン笑美は孤児院で育っていて兄や両親との血縁関係はありません。
孤児院から笑美を引き取ってくれたのが兄、武藤武明の両親でした。
兄は俗に言う天才という人種で16歳にしてハーバード大学の学位を獲得するほどです、
信頼もお金もある何不自由ない生活…
兄はそんな生活に退屈していました、そして忽然と姿を消します…
13年後再会する兄妹…兄は再び日本に戻ってきたのです。
新宿を破滅に陥れるテロリストとして…
今回は終始シリアス色の強い作品となっています、
序盤で笑美の兄がテロリストとして
リョウを狙っているということが判明し空気もピリっとしてるんですよね。
序盤から中盤までは笑美の護衛だったり武藤武明の身辺調査ですね。
中盤からは新宿の存亡を賭けたスケールの大きい話にふくらんでいきます。
香が笑美のファンということもあってやたら真剣に護衛してましたね、
リラックスして護衛してるリョウとピリピリしながら護衛してる香は対極で面白かったです。
そして意外だったのが海坊主まで笑美のファンだったということw
笑美にリョウが手を出さないように銃口を向け脅してくるほどにはファンみたいです。
前作もそうでしたが今回も笑美と武藤武明の家庭事情などが丁寧に描写されていて、
感情移入するには十分だったと思います。
兄の空白の13年間…
武藤武明は外人部隊の傭兵として活躍していたようです。
天才であるがゆえに戦場でしか自身の渇きを満たせなかった武藤武明。
家庭での印象としては非常に無気力な日々を送ってるように思えました、
常人では難しいと思えるようなことをあっさりとやってのけてしまう彼にとって、
生きてる実感のわかない生活に耐えられなくなったのでしょう。
そんな彼が興味を示したのがシティーハンター冴羽リョウ。
彼は自分の限界を知りたかったのかもしれないね。
武藤武明は通称プロフェッサーと呼ばれていてその名のとおり狡猾で危険なやつでした。
とにかく冷静沈着で頭がいい。
天才は何をやらせても天才なのでしょうね、
肉弾戦もズバぬけていて素手で数人殺したという凶悪殺人犯を一蹴。
しかもやる事のスケールが大きいです。
シティーハンターとのゲームをするために彼がまずしたこと…
それは囚人護送車を襲い二人の囚人を奪うことでした。
一人は上でも書いた素手で数人殺した凶悪犯です。
彼はプロフェッサーに一蹴されてからは従順になりましたね、
その身をもってプロフェッサーの力を体感したのが大きかったのでしょうか。
そしてもう一人は爆弾テロリストの男です。
彼がつくりだした爆弾を切欠に新宿は大混乱に陥ります。
爆弾はこの作品の肝でもありますね。
プロフェッサーは政府に100億を要求するんですよ、
払わなきゃ新宿に仕掛けた100個の爆弾が爆発すると脅してね。
金にもさほど興味はなく、あくまでリョウとのゲームを楽しんでるという印象でした。
最初は要求を断り続けていた政府ですが
乗客300人が乗車する電車を人質にとられ要求をのみます。
しかしその現金には発信機がついていたんですよね、
これでプロフェッサーたちを一網打尽!と思いきや、
なんとプロフェッサーは100億の現金は市民へのささやかなプレゼントだ、と放送を流し、
新宿区民の欲を煽り市民を暴徒化させますw
そのせいで警察もプロフェッサー追跡どころじゃなかったりと大混乱。
しかも100億用意させといて10億ほど回収して撤収w
残り90億はフェイクだったみたいですね、とんでもない男ですよ。
完全に弄ばれてます。
そのような男だからこそ今まで満たされることはなかったのでしょう。
そしてようやく満たしてくれそうな人物が現れました、冴羽リョウです。
今まであらゆることを見通してきたプロフェッサーが
唯一理解できなかった男がリョウになるのかな。
やはりこの作品の魅力はリョウとプロフェッサーのカッコよさにあると思います。
対極にいる二人ですが双方違った魅力がありカッコいいんですよねぇ。
プロフェッサーの声優さんも山寺宏一さんとピッタリでした。
山寺さんは新人のころからシティーハンターのちょい役として出演し続けて鍛えられてきました、
そんな山寺さんがシティーハンターでこんな大役をやるというのも感慨深いものがあります。
海坊主の活躍もあり爆弾電車をとめるために色々無茶しますよ。
それ以外にもリョウと親交のある新宿の住人たちも大活躍です。
新宿&リョウのピンチのために新宿中の爆弾を探し当てました。
もうじき爆弾が爆発して新宿が壊滅するというときでも
約二名ほど残ってましたしね、ビデオ屋のおっちゃんとオカマのエリカですw
この二人からしてみれば新宿が我が家みたいなものだし
他に行くところなんてないんですよ、それにリョウのことも信じてたしね。
事件が解決したら徐々に新宿に戻ってくる住民たち…
眠らない街、新宿…
こんなことがあったばかりなのにまたすぐに活気を取り戻すのはさすが新宿だなとw
中盤からの爆弾シーンからは怒涛のスケールで展開していき、
終盤では爆弾が作動してる電車内でプロフェッサーと戦います。
ここまでリョウが苦戦するのも珍しかったですね、
プロフェッサーの実力は本物で銃撃戦も肉弾戦も強いです。
敗れ去りはしましたがプロフェッサーも満足そうでしたね…
リョウの銃弾がまともに当たってるのでもうながくないはずなのに満足そうでした。
生の実感とは死でしか感じれないのかもしれませんね、
死ぬ間際になって初めて生きてる、生きてたなどの感情がわいてくるのかもしれません。
ラスト爆弾の接続線を切るときに笑美の下着の色で決めたリョウw
それを見てプロフェッサーは「こんな男もいるのか…」と口にします…
たぶんこの出来事がプロフェッサーが今まで生きてきて唯一理解できなかった瞬間でしょうね。
武藤武明は家をでる直前パソコンにある文字を残してました…
Good-bye my…
【さようなら、私の…】
彼は結局この先の文字を打たずに姿を消したようですが
その先の文字はこの作品のタイトルが綴ってくれています。
Good-bye my sweetheart
【さようなら、私の恋人】
この言葉は実に意味深ですよね、
単純に恋人としてとらえてしまうと妹を一人の女性としてみていたように思えます。
ですが恋人のように大好きだった人という考え方も出来ますよね。
私としてはたぶん誰よりも大切な存在だったという想いを
恋人という言葉で表現したかったんじゃないかと…
ただ上の意味でもおかしくはないんですよね、
血縁関係がないというのがまたなんともw
しかし皮肉なものですよね。
【さようなら、私の恋人】
彼が残そうとしたこの言葉は彼自身の死によって、
武藤武明→真風笑美への言葉ではなく、
真風笑美→武藤武明への言葉になってしまったように感じました…
今回は敵がかなりのやり手でシナリオを盛り上げてくれました。
TVスペシャルにして劇場版以上のクオリティーはさすがでしたね。
単巻DVDが発売してないのはもったいないと思うので是非検討していただきたい!
【A84点】