ninfami さんの感想・評価
2.9
物語 : 1.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 1.5
状態:観終わった
再評価します。
ここまで酷い作品は、後にも先にもAngel Beats!だけなので、再評価します。これほど見ていてイライラした作品も珍しい。
まず、死んだ世界戦線の序盤の目的が不明。天使ちゃんを最初は敵視して戦っていますが、なぜ彼女がそんなに敵視されるのかと。明確な理由もなく、そんなことをしていたら、正直な話いじめにしか見えませんよ。とても不愉快です。
それと、「死」というのはとても重いテーマです。灰羽連盟でもそういったテーマを扱っていますが、あれは死というテーマをきちんとキーパーソンとなるキャラクターを通じて我々に訴えかけていたので、なんら不快はありませんでした。作りが上手いなぁ、と素直に感心しました。
それがこのAngel Beats!ではどうでしょうか。むしろその「死」という重いテーマをギャグとして取り扱うという、倫理に反した行動に出てしまいましたよ。これがどうも私は許せませんでした。ただのギャグアニメでの「死」は面白いとは思いますが、この『Angel Beats!』は「死」に重きを置いた作品ですよね。そんな作品は、「死」を丁重に扱わなければ狂った作品になります。要するに、このアニメは狂っていますよ。人が死ぬなんて悲しいことであるのに、不死身なのを良いことに簡単に人が死んでいって、何事もなかったかのように話を前に進めて・・・・。私情ですが、このアニメの流血シーンはかなり痛々しくて、見てられませんでしたね。
それとこれは構成上の問題ですが、幾らなんでもあれだけのキャラクターを登場させておいて、1クールは苦しいでしょう。どう考えても2クールは必要なアニメでした。たくさんのキャラクターがメインのように登場しますが、ほとんど使い捨てのような感じでした。それぞれのキャラクターは立っているのですがどうも名前が頭に入ってきません。どこで彼らに好感を持てばいいのやら、といった感じです。生前の話も何の脈絡もなく唐突で、あきらかに尺が足りていないと感じました。ある方も言っていましたが、もう少し段階を踏むべきでしょう。
あと、このアニメはギャグアニメとしてのレッテルが張られているようですが、正直ギャグはクスリともこなかったです。はっきり言うと、めちゃくちゃつまらない。視聴者を嘗めているのかと思いましたよ。シリアスな空気も壊しているし、これに関しては救いようがありませんね。
ガルデモの存在も気になりました。まったくストーリーとは関係しないくせに、どうしてこいつらは存在するのでしょうか。理由は一つですね、けいおん!のようにCDでの売り上げを考えているようにしか思えません。けいおん!は音楽がテーマなのでまったく構わないのですが、この作品は違いますよね。こんなもの詰め込まないでください、ただの蛇足です。
尺はただでさえ短いくせに、要らないものを詰め込みすぎて、無駄なギャグパートもあったりして、一言で言えば「狂った滅茶苦茶な似非感動アニメ」です。話が唐突すぎて泣けるところもよく分からないし、どうすればこのアニメを救えるのでしょうか。というより、なんでこのアニメは制作されてしまったのでしょうか。
ユイの生前の苦しみも「成仏しよう」「結婚してやんよ」とか、なんとも軽々しい意味不明な詭弁を並べて解決ですか。笑ってしまいましたよ。ユイは生前、辛い思いをしてきた筈です。それを何の心もこもっていない「結婚してやんよ」で一蹴していいのですか。ユイはそれで成仏して死んでしまうというのに、その選択は本当に正しいことなのですか?
ラストに音無が天使ちゃんに言った「一緒に残らないか?」にはもう怒りがこみ上げました。「みんなで成仏しよう」と言ったのに、どういうつもりでそんなことを言ったのでしょうか。こうなると、仲間たちを成仏させたのは、天使ちゃんと二人きりになりたかったからですよね。成仏というのは正式な「死」だというのに、その仲間たちを「死」に追いやることに何の抵抗もなかったということですか。「死」に追いやってまで、天使ちゃんと残りたかったのですか。凄いですね。ハマカーンの言葉を借りるならば、下衆の極みですね。こんな主人公のどこを好きになればいいのでしょう。スクイズの誠より下衆な主人公と思います。
こんなアニメがどうしてここまで評価が高いのかが気になります。どんな気持ちでアニメを見ているのでしょうか。これを好きなアニメと公言する人はちょっと信用なりませんね。