どうまん さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
2つの主題を持つ学園生活
●率直な感想
原作未プレイでの感想。
お人好しで可愛い女の子達がいっぱい出てきて、みんな主人公に好意を抱く辺りはギャルゲ原作らしく、これはそういうものと受け入れるしかない。
とはいえよくあるハーレム物のように主人公がどっちつかずでフラフラするという訳でもなく、きちんと当初からの方向性に従って話が進むので、これはあまり気にする所ではないだろう。
本編の合間合間に入る「もう終わった世界」の描写だが、これはこの『CLANNAD』だけを観る限りではプロット上での意義が分からず、芝居がかった雰囲気も相まってあまり好意的に受取れなかった(続編であるafter storyでその意味が明かされる事になっている)。
ただ、本筋である各登場人物ごとのエピソードはなかなか良い(全ヒロイン分用意されているわけではないが)。
他人と関わらなければ見えてこない、別の人の目を通じて見える別の世界が、自分だけの狭く辛い世界に生きる主人公に人生の楽しさや家族の大切さを伝えている。
そういった意味でこれはただの学園物ではなく、よくネタにもされている通り「人生」を主題とした話と捉えられる。
●「人生」の前半部としての1期
人生への興味を失った無気力な主人公と、辛い目に遭いながらも人生の素晴らしさを信じる健気なヒロインの対照が基本の構図となっている。
ヒロインと出会って主人公は徐々に変わっていく。
その長い変化の過程の内、主人公の高校卒業までを1期、つまりこの『CLANNAD』で描いている。
しかしそう単純なものではない。
主人公の抱えるわだかまりは容易く融けるものでもないし、実質的には何も変化していないとも言える。
一方で、その変化が微々たるものであるからこそ、最初の頃からの違いを見出し、「変わったんだなぁ」としみじみ思えるのだろうとも思う。
現実の学生生活も過ぎてから初めて懐かしく思い起こされるものであり、『CLANNAD』での主人公岡崎の変化は、私たち自身にとっての学生生活の意味を考えさせる。
●だんご大家族
ヒロインが大好きなだんご大家族はED曲として流され、初めは何の意味があるのかよくわからなかった。
実はこの曲、もう1つのテーマである「家族」に結びついている。
歌詞を見るとよくわかる。
家族というものを知らない主人公岡崎は、ヒロインの家族と関わって人の温かさを知る。
「仲良しだんご手を繋ぎ大きなまるい輪になるよ」というくだりは、まさに主人公が他者や社会といった大きな輪に入る事を示している。
このように、「家族」を持たない主人公が家族(あるいは居場所)を得る話として見る事もできる。
○こんな人向け
・じーんとする話が好き
・ギャルゲーっぽいキャラクターにイライラしない