空色の猫 さんの感想・評価
3.3
物語 : 2.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
特異な部分が少ない。
不自然に友達が少ない人間が無理やり友達作りを試みて失敗する、そんなコメディ作品と見ても平凡だし、過去の傷心や生来の境遇から交友関係が希薄な人間たちが心を通わせていく、そんなハートフルストーリーとしても説得力が弱い。
人物構成としては、ハーレム展開の恋愛話だが、女性キャラはともかく主人公の少年に葛藤がないように見えるため、緊張感に欠ける。
同級生の女子が奇妙な部活動をつくり強引に誘われる、エロゲが大好きな美少女、中二病の少女、食いしん坊なちびっ子シスター、女性にしか見えない男子生徒など、どこかのベストセラーラノベで見たことのあるような設定や展開だらけのパロディ的な作品である。
小ネタが中軸であり、同レベルのネタが枝葉にもオチにもあるため、真面目なテーマにボケがあるとも、バカな話に真剣な話が交じるともいえない、実に中途半端な作品。
原作や漫画も読んでみたが、漫画という媒体がネタの表現としても尺としても、もっとも適切だと感じる。小説は間延した印象で、アニメはそれを上手に省略というか抽出している。
キャラクター設定には凝るものの、ストーリーや構成を等閑視して一貫性を失うため、人物が活かされず物語に重みが欠けているという、どちらかというと悪い意味で「ライト」なラノベ原作アニメ。
不満な点ばかりを指摘したが、全体の出来とすれば「可」であり及第点には達している。観ればそこそこにそれなりに面白い。これでなくてはダメなものがないだけで、これでも悪くはないだろう。
笑いか涙か、一辺倒にならないまでも、パートをきっちりと分けてどちらかに力を入れれば「良い」作品になったかもしれないのが惜しいところだ。