ぱるうらら さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
繋いだ手を離さないで。 その瞳をそらさないで。
『東京マグニチュード8.0』はオリジナルアニメ、1クール(全11話)の災害・ドラマチックアニメです。
このアニメは近い未来必ず起こり得る巨大地震が関東地方で発生したという事をテーマとし、その中でも東京を舞台に、ある二人の姉弟を中心に様々な感情をぶつけ合いそして分かち合うドラマチックな物語が展開されていくというモノでした。
巨大地震に関しては以前から危惧され続けられ、過去にも沢山の書籍、色んな目線から見た様々な災害ドラマ等が出版・放送されて来ました。そして今回はフジテレビが防災や危機管理も踏まえて、それらの内容を深夜アニメ(ノイタミナ枠)として作成・放送しました。地震被害予想アニメーションともとれるこの作品は地震の恐ろしさ、生々しいさがドラマとはまた違う形で、喜・怒・哀を交えて伝わってきました。
しかし、こう言うのも何ですが私が注目した事は災害が如何こうと云うよりもやはり人間ドラマでした。登場人物を極力控え、代わりにその少ない登場人物たちの心情に目を向けられていたために、後半からは大分感情移入する事が出来てクライマックスシーンでは感動せずには居られませんでした。感情移入出来た理由としては他にも小中学生という人間的にも未だ幼い子達の、“わがまま”で“自分勝手”な、そして相手の気持ちを察しているかどうかも分からない様な振る舞いをしている事、つまり、姉には自分本位で相手の本当の気持ちを感じ取って思いやる事も出来難い反抗期チックな面が窺われ、弟には年齢相応の、無邪気で、抜群の空気の読めなさが他人の気に触っていた面を何度も観受けられたからだと思います。本作の視聴の最中だった時の私は、その二人の言動に一々イライラさせられましたが、これが感情移入させる一番の要因になっていたのでは、と本作を振り返ってみるとそう思えます。
それに、後々考えてみれば小中学生の年齢で作中のイライラさせられる言動を振りまく事は普通ではないかと、そしてそれが上手くリアリティを引き出していたのではないかとも思いました。
他にも、主人公達以外の一般人が死という恐怖を表現するのに重要な役割を果たしていました。その点では体育館でのシーンやとある公園の噴水前のシーンにおけるお話も非常に良かったです。
各話の次回予告は“被害状況の報道”という形で行い、緊張感を視聴者に与えたまま次回へ進ませるというモノでこの作品にはピッタリの次回予告でした。
この『東京マグニチュード8.0』という作品は地震をテーマにその被害のシミュレーションとその地震に対する意識を強めるという意図もあり、その点を楽しむのもまた一つの見方かもしれませんが、私としてはやはり人間ドラマとして観て頂きたいです。