STONE さんの感想・評価

3.7
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

淡泊な男子高校生の日常

　原作は未読。
　いわゆるゆるい日常系と言えば、大半は女子モノだったが、こちらは男子中心。
　女子系の場合、女の子同士のストレートな仲の良さが表現されることが多かったが、
こちらは思春期の男子特有の照れもあってか、表面上は「面倒くさいな」、
「しょうがないな」的な態度を出しつつ、それでいていつも一緒にいるという、男の子
らしい感じがよく表現されていた。
　素直になれない分、その中に垣間見られる相手を思うやさしさが非常にいい。

　この男子同士の付かず離れずな感じは、途中途中に入ってくる猫同士の関係性に
似ている。
　この作品における猫の描写はストーリー間の箸休め的意味合いもあるのだろうが、
猫自身がキャラの心情や態度を強調するのに役立っている。

　女子の日常系の場合、異性との恋愛はあまり描かれないことが多いが、この作品に
関してはそれなりに描かれていたりします。
　ただ、それ自体は恋愛と言うより、まだ好意といったレベルのものが大半で、その
消極性は見ていて微笑ましく感じられるほど。
　恋愛にも触れられているということで、女子キャラもそれなりに登場してくるが、
あくまで男子5人が中心に描かれているため、女子キャラに関しては、春君にくっついて
まわっている茉咲ちゃん以外はゲストキャラ的な感じ。
　この女子キャラは多かれ少なかれ恋愛的関係性を持ったキャラ達が多いが、男子が淡泊な
分？、より悩み、葛藤する彼女達の心情がよく描かれていたように思える。
　作品世界内においては、この女子達は特別に可愛かったり、きれいだったりするわけでは
ないみたい。食堂のシンデレラこと佐倉花代に関しては千鶴君が「きれいな人」と言及して
いたが。
　際立って容姿がいいわけではないこともあって、より感情や、その感情から起きる行動
などに目がいってしまった。

　総じて地味ながらも、キャラの心情表現に優れた作品との印象。
　ただ、「これがリアルか？」と言うと、「ちょっと・・・」と思ってしまうのも事実。
　男子高校生って、良くも悪くも心身共にもっと脂ぎったと言うか、ギラギラした感じが
あるのではないかと。多感な年頃だし。
　千鶴君や、春君の弟の冬樹君なんかでも、まだおとなしい印象。
　まあ、淡泊な者同士が集まったと思っておこう。

　BGMに関して。
　アコギ、エレキ双方使用していたが、ギターを中心に固めていたのが印象的。
　それもブルージーな曲が多く、ブルーズ特有の憂いが、男子5人の心情によくマッチして
いて、作品世界の雰囲気をより盛り上げてくれた感じ。