マツモトゥオ さんの感想・評価
4.9
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
DOG DAYS ドッグデイズ
動物の耳や尻尾を持った種族たちが暮らす、地球とは隔絶した異世界フロニャルド。弱冠14歳の少女ミルヒオーレ・F・ビスコッティを代表領主とするビスコッティ共和国は、かつて友好関係にあった隣国ガレット獅子団領国との「戦」で敗戦を重ね、窮地に瀕していた。武勇に優れるガレットの戦姫レオンミシェリ・ガレット・デ・ロワに率いられる軍勢がビスコッティの城へ迫ろうというその時、ミルヒオーレは国の窮状を打破するための切り札として、異世界からの「勇者」召喚を決意する。地球の現代日本に住む、アスレチックや軽業を特技とする少年 シンク・イズミ は、故郷のイギリス行きの飛行機へ乗るために学校の終業式を早退する途中、突然に異世界フロニャルドへと召喚され、ミルヒオーレから「勇者となってこの国に力を貸して欲しい」という懇願を受ける。まるで異世界ファンタジー小説に登場するヒーローのような状況に立たされたシンクは、自分には戦う能力などないと困惑する。しかし、実はフロニャルドで行われている「戦」とは生死を賭けた戦いではなく、スポーツ精神に則ったアスレチック競技によって戦争の勝敗を決するというものであると知るのだった。シンクは彼を召喚したミルヒオーレの勘違いによって地球に戻る手段を失いつつも、家族や女友達と旅行の約束がある16日後までには元の世界に戻る方法を探してもらうという約束の元、その間はビスコッティ共和国に勇者として協力しつつ、この状況を前向きに捉えて楽しむことを決意する。 シンクはフロニャルドの人々と交友を深めていき、反目しつつもよき戦友となっていくエクレール・マルティノッジや、シンクが元の世界に帰る方法を探そうとするリコッタ・エルマール、敵対しつつも気さくな人柄のガレットの王子ガウル・ガレット・デ・ロワといった人々と友情を築く。一方で、物語の核心は、かつてミルヒオーレと姉妹同然の仲であったレオンミシェリが、ビスコッティへの侵攻に執念を燃やす理由へと向かっていく。実のところ、レオンミシェリは「星詠み」と呼ばれる占いによってミルヒオーレに降りかかる死を予見し、それを現実に起こりうる出来事と考え、「戦」にかこつけて望まぬ未来を回避しようと躍起になっていたのであった。 結局、真意を明かさずにミルヒオーレを危険から遠ざけようとするレオンミシェリの思惑と、敵陣に乗り込んででもレオンミシェリの真意を問いただそうとするミルヒオーレの想いはかみ合わず、突如として戦場に出現した魔物にミルヒオーレが取り込まれてしまうという形で、レオンミシェリの「星詠み」は現実のものになりかける。しかしシンクの奮闘や、魔物の正体を知り同情を寄せたミルヒオーレの想い、そして魔物退治を生業とするブリオッシュ・ダルキアンとユキカゼ・パネトーネの活躍などもあって魔物は無害化され、回避不可能とされた「星詠み」による予見は的中せずに終わる。一連の戦いは、一人で問題を抱え込み、不正確な占いに振り回されたレオンミシェリが己を恥じるという形で決着する。 ガレットとの「戦」が終結し、シンクが地球へ帰る方法もリコッタによって解明されたのだが、その手段を用いてしまうとシンクは記憶を失い、二度とフロニャルドに戻れなくなるという。シンクは二度と戻れないことをリコッタとの間だけの秘密とし、皆との楽しい思い出を作って笑顔でフロニャルドを去ろうとするが、結局皆には見抜かれていた。ミルヒオーレは懸命に気づかないふりを装おうとしつつも再会を約束し、シンクを送り返す。ところが別れ際の一連の行動は、偶然にも再召還を可能にする条件を整えており、シンクは地球に帰還した後も、ややあってフロニャルドでの出来事を思い出すことに成功する。物語は、シンクが夏休みに再びフロニャルドへ行くことを心に決める場面で締め括られる。