じょー さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
PAWorksの二つの挑戦
2クールに渡って、本格的な人間ドラマを送り続けた「花咲くいろは」。途中10話-18話くらいまで明らかに中だるみっぽい展開になり、評価を下げたのですが、終わってみればとても満足のいくドラマとしての仕上がりだったと思います。ほぼ全作品オリジナルか原作と異なる設定が多いPAworksですが、2つの視点からこの作品のメッセージを読み取って行きたいと思います。
1.朝ドラ、ヒューマンドラマの深夜アニメ化
きわめてポジティブで、きわめて危なっかしい主人公、トラブルから始まり、主人公の成長、三角関係、遠くにいる自分を好きな人、そして地元出身の出演者(僕の麻美子)など作品の雰囲気は予想通り、地方版NHK朝ドラを彷彿とさせる展開です、サブのキャラへの光の当て方も明らかに人間ドラマを意識しています。いわゆる話としては、剣も魔法も、タイムトラベルもない、実写でも出来る事なのですが、これをあえてアニメにしたことに、大きな意義と挑戦を感じます。これが初めてではもちろんないのですが、岸田メルを使い、お色気を意図的に使い、萌えを演出し、コメディを加え、NHK朝ドラをきっちり深夜アニメの枠に仕上げてきたのは、さすがだと思います。True Tearsで昼ドラ愛憎劇をアニメ化したのですが、アニメの型には嵌めきっておらず、「花咲くいろは」の方が深夜アニメらしさがあったかと思います。
現状、俳優とは到底言えない大根役者さんの実写映画や、美人だけど演技は?のピアニストが主役だったり、棒読みだったりの朝ドラの酷い演技を見せられるくらいなら、プロの声優さんで、岸田メルという現在ベストに近いキャラデザと、PAの現実以上に美しい風景を用いる事により、アニメでも同じかそれ以上の表現が出来るということを示した意義は非常に大きいと思います。実写そのものを否定するつもりは到底ありませんが、アニメの持つ無限の可能性を、さらに、日本的ヒューマンドラマまで広げたという意味でのこの作品の意義は大きいと感じています。
2.地域活性化コンテンツとしての深夜アニメ
地域活性化の為のコンテンツとしてのオリジナルアニメはらきすた以降、すでに一定の成功を収めています。今期だけでも秩父、名古屋、北海道などが舞台になっています。特に秩父は地元商店街と西武が「あの花」を非常に上手く取り入れて成功を納めています。
本作品の違いは、北陸を基盤としたPAが、北陸という地域に対して還元できることを意識し、はっきりとした意図をもって作られているなと感じられる所です。かなり誇張して言うと、アニメ産業と自治体の意識やビジネスモデルを変える可能性を模索した意欲作ではないかと。あれだけ美しい絵を背景として、みなに好感の持てるストーリーが功を奏して、大きいお友達の観光客を増やしているそうです。さらに金沢発祥のゴーゴーカレーとのタイアップや、「ぼんぼり祭り」を開くことにより、一見客を呼び込む工夫もしているとのこと。深夜アニメも一時的な効果が大きく、これがリピーターと成るかは地元の努力次第だと思いますが、少なくとも一巡目の客を呼ぶことは出来ています。
東京以外の地域にアニメ製作会社があることによる、自治体と地域の成功モデルが確立されて、アニメスタジオの誘致などさらに広がっていくといいなと思います。京アニやPAにはがんばって欲しいです。われわれアニオタは、ブヒブヒうるさいですが、高いBD買い、聖地巡礼するくらいにはお金持ってますし、好きな物にはお金を掛ける意味があると考えている人種で、さらに批判精神も強く、さらにその結果がネットで容易に情報収集できる、良質な消費者です。BDやグッズだけでなく、地方への購買意欲、消費意欲をそそって欲しいと切に思います。TTは城端で、すでに2-3年の間継続的な成功例を築きつつあります。僕も一度は城端に行ってみたいです。滋賀県のけいおん!もしかりです。そう言った意味で本作品のアニメと地方自治体に投げかける意味は、らきすた以来の転換機になって欲しいと期待しています。熱海温泉で、ラブプラスがやろうとしていたことを、もっとうまくやって欲しいなと。
この2点の挑戦が、このアニメのレーゾンデートルであったというのが、私の意見です。
さすがにPA.Worksだけあって、作画特に背景が非常に綺麗です。岸田メルさんと関口さんのキャラデザも、メルオーラを失う事無く、関口キャラの特徴も良く出来ていて、絵は満点を付けたいです。
声優さんは、語りはじめると、能登麻美子さんの話だけでレビュー埋めてしまいますので、手短に。能登さんのこのコメディ担当行き遅れキャラは、はっきりいって、乃木坂春香よりあってます。真面目に惚れ直しました。方言で話す能登さんが、個人的にはベストシーンで大満足。
いろいろ書いて行きましたが、新しい試みですので、批判も多いかと思います。よい作品ではなかったのでしょうか。おそらく、TrueTearsの様に、後になってからああ、あれが転機だったねとその価値が増してくる作品であるのではないかと思います。
以下過去レビュー
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5話までレビュー
さすがにPA.Worksだけあって、作画特に背景が非常に綺麗です。
きわめてポジティブで、きわめて危なっかしい主人公、トラブルから始まり、主人公の成長が期待される、三角関係に近い要素と、遠くにいる自分を好きな人、そして地元出身の出演者(僕の麻美子)など作品の雰囲気は予想通り、地方版NHK朝ドラを彷彿とさせる展開でした。なかなかに期待できるかなと思います。
5話まで視聴ですが、なんというのでしょう、毎回抜群の安定感があります。橋田壽賀子や朝ドラのように、だいたいどうなるか予想できるし、はたしてそうなる展開なんですが、PAのハイレベルな絵で、お色気少し、そして魅力的なキャラクターがそろっているということが、こんなに面白くさせている。そもそも深夜アニメにしては地味で取り合わない事が多そうな題材だと思っていた日本人的ヒューマンドラマ物をどれだけ面白くできるかというPAの意欲作かと思います。
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7回(能登回)のみレビュー
先週まで真面目に書いててすいません。今回は(多分個人的に)神回でした。だって能登かわいいよ能登。巴さんは今まで脚光浴びてなかったのですが、なんか可愛いです。ああいう婚期ややすぎの女性のなんともいえない魅力が、本人の印象と重なって、凄く魅力的に感じます。
正直方言で話す能登さんだけで大満足!何回巻き戻してみたことか、ああ至福の時間。緒花と菜子も可愛いけど照れる能登も負けずにかわいいわ。
ふもっふの温泉回のパロの様な展開ですが、あのときは、能登さんは温泉に突入する男子高校生でした。そして、フルメタル・ジャケットの名台詞「逃げる奴は~」のパロ、フルメタルつながりかよ、と突っ込んでおきました。
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第10回まで
喜翆荘の受付電話、巴さんバージョン。
チャーリーさん、しんじの元嫁さん、oki96さんから、繋がったよとの報告を受けたが、僕はまだです。わかってるんです。朝弱いんです。でもニコニコからmp3落として毎日聞いてます。能登可愛いよ能登
能登回以後、8,9回に引き続きさらに大きく物語を動かしてきましたね。2クール半ばそろそろ朝ドラでも転機を迎えることかと思います。相変わらず、極めて朝ドラっぽいヒロインが、朝ドラっぽい考え方で、朝ドラっぽい恋をするのですが、考ちゃんとの仲を含め、しばらくは、緒花の物語に何らかの前進がありそうです。安定感のある楽しさって、なかなかアニメではないですよね。これがこの作品の魅力ではないかと思います。
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第18回まで
期待度が非常に高く始まったこのお話ですが、ここに来てなんというか若干のパワーダウン感は否めません。サブキャラにフォーカスを当てる回がいくつかあるのですが、なこち回をこんなに物語の後半に持ってこなくてもいいような。はたして、恋愛関係についても落としどころが見えず、現在の所終着点が見えないというか、伏線がない状態に近いのかなと。
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第20回まで
文化祭回がつづき、これはこれで面白いけど、今頃こんなことして大丈夫なのと思っていました。21回で結婚の話は正直泣かされました。翠かわいいよ翠などとのんびり、思っていたらその直後にちょっと衝撃。結婚式に向けて、三角関係やら跡継ぎ問題やら、やっとメインのストーリーが動き始めたのかなという気がしてきます。来週が楽しみになってきました。
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第24回まで、
20回以降、本筋の人間ドラマがきっちり進んでいきます。ここら辺の絵の綺麗さとドラマの描き方はさすがにPAらしく、きっちり書いてきますね。グイグイ朝ドラ展開に引き込まれて来ています。あと2回、最後まで、はらはらのドラマに期待です
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第25回
いよいよ大円団のぼんぼりまつりに向けて、登場人物のドラマが収束していきます。17,18回までで、ホントに決着つくのかと心配になりましたが、さすがはPAWorks、ここらへんはきっちりまとめてきました。ドラマ性が上がってきて、期待と一抹の寂しさを感じさせるラストでした。
そして、の巴さんのシーンは豆じいエロイ
今回のスペシャルサンクスはゴーゴーカレーw本当に北陸の為のアニメだなーと。てか何故おれの行きつけのアキバ店ではやってない!
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最終回
綺麗にまとめましたね。喜翆荘は最終的に閉鎖。再会を願いながらも別々の道に進み、最終的に緒花はこうちゃんと東京で。それぞれの近未来を描きながら、希望をつなげ、悪く言うと喜翆荘再開での2期の含みを残しながら。綺麗にまとめ過ぎたきらいはありますが、”朝ドラ”だったらこの終わりかたでイイと思います。