ぼん@百合人 さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
行こう、アスナ。さよならを知るための旅だ(5.11追記)
映画視聴、他「星を追う子ども-アガルタの少年-」読みました。
父の形見の鉱石ラジオから聴こえてきた不思議な唄。
―それは、私たちの知らない世界からのものだった―
その唄を忘れられない少女アスナは、地下世界アガルタから
来たという少年シュンに出会う。シュンは、見たいものがあったから、会いたい人がいたから、ここに来たのだと語り、アスナが帰ったあとに息を引き取る。
地下世界アガルタは、死者の国と伝承されている。
たとえば、古事記の黄泉の世界のような。
そしてそこには莫大な富や死者の復活すら可能にする技術があるという。
「シュンにもう一度会いたい」そう願うアスナ。
シュンと瓜二つの少年シン。
妻との再会を切望しアガルタを探す教師モリサキ。
生きてきた環境も性格もバラバラの三人の共通点は、死者とのつながり。
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私たちの知らない世界が舞台ということで、とても幻想的なのはもちろんのこと、アガルタという地下世界を古事記という現実世界にあるものから引っぱってきたのがすごい、と思いました。私自身歴史が好きなので、とても入りやすかったです。
子供だと、「死んだ」ということがどういうことなのか分からないこともあります。
大人でも、「死んだ」事実を受け入れたくないと拒むこともあります。
この物語は、そんな気持ちを抱えた3人が、どのように気持ちに整理をつけていくのかという物語だと思います。
{netabare}
宮崎駿作品へのオマージュが多々あり、とても楽しめました。友達と見ていて、「これは○○だ!!」と言いあったのを覚えています。監督は狙ってやったことのようで、宮崎駿作品の国民浸透率にただすごいと唸ってしまいます。
妻を生き返らせるために、生贄としてアスナを選んでしまうモリサキはアスナに許されることで、アガルタに残り、
シュンに依存が大きかったシンが一人で戦っていったり、
アスナのシュンに会いたいという気持ちが、生き返らせたいという気持ちではなく、さびしかったのだと気付く過程。
アガルタに行くことで3人とも、なにかしら自分の気持ちにケリがついていくんです。
だから「さよならを知る(言う)ための旅」。{/netabare}
追記------------------------------
この映画が気に言ったひとは!
media factory ジーンコミックス版
星を追う子ども アガルタの少年
こちらもぜひ見てください!
大筋は同じ(6割くらい?)だと思いますが、主人公がアスナではなく、シンになっており、シンのシュンへの想いがメインにきています。
また、主人公が違うことから中盤から終盤あたりにかけては、オリジナルストーリーが描かれており、実は私はシンの物語のほうが好きだったりします。
映画があるからこそ、映える漫画だと思います。
{netabare}
映画ではあまり焦点のあてられなかった、シンの想いの変化の過程ですが、漫画版ではイゾクの巣でエツェスという一人の男が登場します。
それがもう反則級に泣ける。
エツェスの言葉がシュンの生を戻すことへの疑問をシンに与えるんです。
「人を生かしたいから生き返らせることは、人を殺したいから殺す殺人者と同じだ!そこに兄の意思がないかぎりはな!」
{/netabare}