STONE さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
呪いが生む、SM的エロティシズム
原作は未読。
フィアが呪いを解くために、人々と触れ合いながら善行を積んでいく心温まる話かと
思いきや、すぐにバトル主体の展開に。それも可愛らしい絵柄とは相反するように、かなり
猟奇的バトル。
そのためグロいシーンも頻発するが、味方も敵も可愛い女の子や美しい女性が主体である
ため、残虐美を感じさせる。
それに伴ってバトル、及びワース関係ではSM的なエロティシズムを感じさせる描写が
多かった。
委員長さんこと上野錐霞などはワースがまんまボンテージで、加えてもう一つのワースの
呪い自体が加虐的なこともあって、ワースが自身を傷つけるシーンなどは単なるSM描写に
しか見えない。本人にとっては苦痛以外何者でもないなのかもしれないけど。
上野錐霞は極端な例だが、それ以外にも自らを傷つけつつ、ワースを破壊することに
喜びを覚えるバロヲイや、ワースのために喜んで身を捧げるビブオーリオ家族会など、
苦痛と快楽が共存するようなシーンが随所に見られた。
そもそもワースの呪いの多くが他者を破壊する、殺す、傷つけるといった苦痛を与える
ものが多いため、作品自体にSM的色彩が強いような。
作画に関しては、前述のSM的エロティック描写に加えて、アートっぽい作画演出が印象
的。
残虐なシーンも抽象的な描写をすることでグロさを軽減したり、逆に精神的苦痛は増幅
させたり。
中盤におけるサヴェレンティ編などは、ワースが人形ということもあって、人形劇を
モチーフにした演出が多かった。
他にもキャラの心情表現を記号化したり、タッチを変えることで強調するような描写が
印象に残った。
こういった演出がこの作品の個性化に繋がっていたように思える。
まあ、シャ○トっぽいと言えば、シャ○トっぽいんだけど(笑)。
こんな感じで絵的にはなかなか見応えがあったが、ストーリーの方は今一つまとまりに
欠けた印象。
バトル中心で進んだため、ストーリーはある程度躍動感のあるものになっていたが、その
反面「善行を積んで、呪いを解く」といった要素がどこかへ行ってしまったような。
結局、呪いを解くのは、バトルで勝った敵から得たインダルジェンス・ディスクを使用
する展開ばかりに。
残虐性を持つシリアス要素と、萌え要素の強いコメディの共存を図ったような印象が
あるが、結局はどっちつかずになった感じ。
あと尺の関係もあるのでしょうが、キャラの掘り下げも弱い。味方も敵も過去やバック
ボーンに色々ありそうなのだが、それがあまり語られることが無かったため、彼らの行動や
思考の裏付けがいまいち取りにくかった。
この内容を1クールでやると、表面をなぞっただけみたいな感じになっちゃうかな。
あと気になったのは、序盤においては文句なしにフィアがメインヒロインだったのが、
回が進むに連れて上野錐霞の存在感がどんどん強くなり、後半以降は委員長さんがメイン
ヒロインといった感じでした。終盤になって変わったOPも委員長さん推しだったし。
原作において、当初フィアをメインヒロインにして話を進めていたが、委員長さんの方が
人気が出てきたので、委員長さんがメインヒロインになっちゃったとかあったのかな?。
先に書いたように原作未読のため、真相は判りませんが。