たんたんたぬき さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
求道精神
面白かったな。年間NO1だダンダダンと迷ってランキングはあっちかな?と考えて最後まで見て個人的に評価すればいいかと思ったら評価できた。むしろラスト付近の方が面白かった。
何が面白いか?ってこのテーマで面白く作るってのがとんでもないなって驚きかと、アニメとしてはイマイチなのかもしれないけど、原作を見てなくてもこりゃ漫画家が異才だとすぐわかる作品。私はアニメとしてどうか?なんて全く気にしない。ゆえに細かく音楽とか作画とかパラメーターを割り振るこのサイトの評価方式が大嫌い。なんというかアニメの面白さを分かって無いなって思う部分。
とにかくシンプルに面白いと感じたものが良いアニメなのであって、そんなどこが優れてるから面白かったとか言うものじゃないと思う。その割に原作者に触れてるが?で昨今本当にアニオリのハズレ率が高まってる。宮崎監督のようなアニオリ作家はもう生まれないのかな?って寂しくなる。
何故だろう?って考えると簡単で、原作の物語力を強く感じるアニメに出会うと、優れた物語を作る力の人を取ってないんだろうなと…。まあ原作がヒットしてからアニメ化するって流れに生じる運もものすごい大事だとは思うけど、こういう運じゃなくて生まれた物語を見るとやっぱ能力が足りないのもあるかな。
このテーマで何故面白く作れた?ここを掘り下げたいけど、ちょっと今回は無理。だからこそすごいなって感じてるんだから。ただ一点だけこれは上手いなって思った点だけなら語れる。全部は無理だが、ほんの一部なら可能。これ信仰と科学が上手くかみ合ってる。
このおかげがある。何故?理性における驚きの感情、これだけなら純粋な科学の物語になってるが、実際はそうじゃない、登場人物の大半が理性の刺激を超えた神をちゃんと持ってる。科学VS信仰じゃない。あくまで地動説と天動説を議論じゃなくて、暴力的な弾圧によって排除しようってものだから。
最終回がすべてじゃないと思う。それはすべては語る事は出来ないって言った事になる。現代科学にも通じる知的好奇心や驚きという感情だけなら理性的な流れになってしまう。そうじゃなくて信仰がこれに強く絡む事でもっと人間の幅広い感情に繋がってるため見る側の感情を揺さぶりやすいと見てる。
ただ信仰への感情は現代では特に日本人においてはそれほどじゃないので、これは共感ってものではない。そうだな、言うなら科学も信仰も共通する求道精神にあふれている。作中自身もこれじゃ悪役だよと死んでいくノヴァクでさえ、求道精神には溢れてるんだ。命を懸けてでも求めてやまない強い感情、これなら共感で見れると思う。
ただの科学的感情だけじゃなくて信仰を絡める事で、もっと多くの人を揺さぶる感情に広げているこの上手さがとにかく見事。
さて綺麗に閉じた物語だが、ラファウ少年が死んだ後出てくるのが謎なのだが、これについては論理的に考える必要はないと思う。最後の最後以外元々歴史に残らない人々の物語なのだから。そこでそのキャラクター達が手紙によってつながるシーンに繋がるのだが。それでもラファウ少年が2度出る論理的整合性はあまり意味が無いと思う。