「アルドノア・ゼロ(Re+)(アニメ映画)」

総合得点
計測不能
感想・評価
5
棚に入れた
12
ランキング
7986
★★★★★ 4.2 (5)
物語
3.8
作画
4.5
声優
4.1
音楽
4.1
キャラ
4.3

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ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ダイジェスト版+OVA。あくまでファン向けの10周年企画上映

【物語 3.0点】
企画の趣旨は、放送10周年を迎えた記念に、Blu-ray BOXもリリースされる中で、
ファン向けに、劇場の大スクリーンにて迫力のロボバトルを堪能して頂こうという劇場版総集編。


100分弱のTVアニメ総集編の後日談、即ち{netabare}獄中{/netabare}でのスレインと伊奈帆の会話の続きなどを描いた25分のOVA「雨の断章」も付いて来ますが、
こちらも完全新作ではなく2015年に披露された朗読劇の映像化。

2クール全24話を押し込んだ総集編の編集も、
見せ場となるバトルシーン以外は、各キャラの象徴的なセリフを、
予告PV風に押し込んだ構成で無理がある。
どうせセリフを拾い切れないなら、
ナレーションか字幕で状況説明を済ませた方がシンプルだったのではとも感じます。

本作から新規ファンを獲得しようという意図は希薄。
既に内容を知っているファンへの恩返しの意味合いが強い上映企画。

『アルドノア』に思い入れがある方には、期間限定上映中に是非といった感じですが、
未見で興味がある方には、TVアニメ版から観て下さいとしか言い様がありません。


単体で内容理解が困難という点で、総集編基準には達していないので、ここまでなら物語2.5点。
「雨の断章」で加点して何とか3.0点といった感じ。


その「雨の断章」を見て、私は『アルドノア』はロボアニメである以上に、
伊奈帆、スレインとアセイラム姫が織り成す青春恋愛アニメだったとの確信が一層深まりました。

{netabare}失脚と同等以上に失恋から立ち直れないスレイン。
朴念仁で失恋も効いてないように見えてスレインに絡んで傷を舐め合いたい伊奈帆。
過去の恋路に多少の憧憬はあるものの、良き思い出と割り切って自由に飛び回る鳥になっているアセイラム姫。

政略のための婚姻も宿命と割り切れている姫はやっぱり強いなと再認識する短編エピソードでした。{/netabare}


因みに劇場パンフレットにて、『アルドノア』完全新作はやらないのか?
との問いに対して、スタッフらが、登場するロボットさえ出せば続編を名乗れる他シリーズと異なり、
伊奈帆、スレイン、アセイラムの3人が出ないとシナリオを紡ぎ難い『アルドノア』は続編構想はあっても中々実現しないと回答されているのが印象的でした。

この点からも『アルドノア』はより人間ドラマに寄せたロボット物であり、
2010年代に繚乱したロボアニメ群の中でも、
無二の作品として私の心に痛切に残っている要因だと改めて思いました。

個人的には続編が作れないことが本作の価値でも良いのではと思っています。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・A-1 Pictures✕TROYCA

同じく設立から10年を経たTROYCAの原点ともなった本作。
オーバーテクノロジーのチート兵器である火星のカタクラフトに対して、
地球のいち高校生である伊奈帆が、知略を駆使して、
性能で劣るオレンジ色の訓練用カタクラフトで、ジャイアントキリングをかましていく。
一連のバトルアニメーションが、大スクリーンで繰り広げられる様は、
今見ても興奮させられます。

だから願わくば、伊奈帆による攻略モノローグは、
総集編でももっと拾って欲しかったかなと。


レイリー散乱による地球の美しい青空が鮮烈に心に焼き付く本作。
「雨の断章」の曇天との対比により、
あの日々を彩った青空には、光だけでなく、交錯する青春の心情も散乱していた。
心情も溶け込んだ空模様という本作の背景美術の価値も再認識。

雨で羽が濡れても、また飛び立てる鳥は最強。
この暗喩もまた詩的です。


【キャラ 4.0点】
総じてスレイン救済作となった印象の本上映企画。

TVアニメ版では分割2クール目に入ってから、
スレインがアセイラム姫に思い入れる理由が深堀りされますが、
本総集編はTV版全部観た人向けだからネタバレも何もないとばかりに、
序盤からスレインのアセイラムへの心情を織り込んでいく編集が可能。
“オレンジ”こと伊奈帆に突っかかっていくスレインの嫉妬心など。伝わって来ます。

「雨の断章」もまたスレイン再起を促す短編とも捉えられることを鑑みると、
本企画は、TVアニメ版本編で、スレインの言動に納得できなかった人向けに、
スレインを補完する効果も期待できるかもしれません。


いずれにせよ、サブキャラに至っては、新規には何者か把握することもままならないので、
キャラの面でもやはり、一度観た人が、別角度からメインキャラを捉え直す企画なのだと思います。


【声優 3.5点】
総集編部分は新録なしなので基準点。

0.5点加点したのは「雨の断章」の各キャストの演技。
収録からも、原作朗読劇からも約10年経過しても尚、
キャラクターの連続性を確保しつつ、
本編の内容も踏まえた、深い心情掘り下げにも対応する。

伊奈帆役の花江 夏樹さん、スレイン役の小野 賢章さん、アセイラム役の雨宮 天さん。
10年経っても一線級の声優さんは、声質にしても、キャラ解像度にしても、
一級品のレベルを再現、継続できる実力者なのだと思い知らされます。


【音楽 4.0点】
劇伴作家・澤野 弘之氏のキャリアの中でも、
主題歌、挿入歌と無双する本作は、まさに同氏の独壇場。

様々なジャンルに出没する澤野氏ですが、
やっぱり私はロボアニメのバトル劇伴ソングが一番アガります。
「BRE@TH//LESS」は以前作った2010年代前半アニソンマイベスト10にも入れているくらい好きですし。

私は通常のスクリーンで鑑賞しましたが、
一部では上質な音響規格で上映している所もあるみたいなので、
高水準な音楽とロボアニメの融合映像を堪能したい方は検討するのもありだと思います。


【余談】
物販コーナーにて聞こえてきた会話。
『アルドノア』ってもう10年前。だいぶ昔の作品だよね。
そういや10年前にアクリルスタンドってあったっけ?

妙に引っかかって調べてみると、
アクスタ自体はゼロ年代からアニメグッズとしては存在していましたが、
ブレイクしたのは2010年代中頃。まず3次元アイドル界隈でアクスタが好評を博し、
その後、2.5次元アイドル界隈にも波及し、
アニメグッズとしても定番化していったという歴史を認識。

確かに『アルドノア』1期が放送していた2014年末頃に、
今ほどアニメのアクスタが氾濫して、物色していた記憶は無いんですよね。

私の記憶喪失の観点からもw10年ひと昔を痛感した一コマでした。

投稿 : 2025/03/11
閲覧 : 52
サンキュー:

10

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