nyaro さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
レベルの高いフランスSF。読み取れるものが多いと思います。
フランスのSF映画(制作はチェコ)です。巨大で先進的な異星人の惑星で地球人がペットのような状態で飼われるような話です。SF的発想としては今となってはそう奇抜でもないですが、1973年(日本公開は85年)ということで当時としては斬新だったかもしれません。映像的にはさすがフランスという感じで芸術性は高い気がします。
当時はまだ文明が進むと密着した衣装で露出度が上がるという思想が残っていたのかもしれません。野蛮で未開な人種もまた露出度が高い。その両極を描いているが面白いです。人類の服飾史がそのままですからね。
そして、オカルト、瞑想あるいはドラックカルチャーなどの精神的な活動が、高尚なものであるという発想が60年代から70年代のSFあるいは実存主義的な考えから導かれている気がします。
知識によって人間が逆襲する一方で、知識の過剰な信奉や文明の進化に対する警鐘も入っている気がします。その辺は両義性がある気がします。宗教や未開な人間の社会構造なども上手くシミュレートされています。
東西冷戦に対するアンチとして民族や思想を超えた融和のようなテーマも感じられます。
一見、奇抜な映像のカルト作品に見えますが、SF的には全然カルトでもなんでもなく、ちゃんと考えられている作品です。感情や感覚よりも思考で見る作品でしょう。
類似例として、ちょっと「GANTZ」の最後の方を思い出してしまいます。影響があったとしても不思議ではないですね。
フランスがここまでSF度の高い作品を作ってたんだ…というのは発見でした。テーマ的には今の日本アニメで扱っているようなテーマが内包されているかなりハイレベルな作品だと思います。1回の視聴でどこまで読みとれているのかわからないです。
SF好きなら見て損はないと思います。