dossun さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態：観終わった
ウイスキー作りの裏側と家族が一つになる物語
P.A.WORKSさんのお仕事シリーズ、久々に見ましたが、劇場版という短い時間の中でのしっかりとしたクオリティで見ごたえがありました。
{netabare}
ウイスキー作りの裏側、どういった工程があり、どういった機材でその商品はつくられているのか、初めて知ることばかりでした。
様々な原酒を組み合わせて作られているなんてことも知りませんでしたし、何気なく聞いていたような熟成された○○年もののウイスキーだなんて話が、実際にはすぐに目を開くような仕事ではなく、大切に貯蔵され、何年も何年も寝かされておいしい味わいになるということを短時間にギュッと凝縮してくれ、教えてくれる作品でした。
蒸留所の仕事を知るというテーマ以外にも、光太郎が自分に向いてない仕事だと思い、適当な仕事ぶりをしていた姿から、琉生や朋子との衝突、安元さんからの教えを聞き、自分が納得できるような仕事、楽しんで仕事ができるようになるまで成長し、一人前に成長していく姿を描き出しているところも非常に良かったです。開始早々の光太郎のふてくされっぷりが最後の1シーンで後輩をしっかりと指導するところまで行く姿、貯蔵庫が炎上し、皆がどういった方向性で進もうか思い悩む中、自分から積極的に蒸留所のためにできることを提案し、行動していく姿は良かったです。
そして、何より心情描写が丁寧に描かれていて、感情移入しながら見ることができました。兄妹でありながら、蒸留所の方針でぶつかり合う琉生と圭のシーンやテイスティングノートを光太郎に見られ、本音をさらけ出しぶつかる琉生、琉生がどれほど苦労して今の立場に立ち、悩み苦しんできたかを光太郎に伝える東海林さん、その気持ちを汲み取り、自分自身の姿勢を改めて蒸留所のために動く光太郎、誰もがその蒸留所のために動き、なんとか「独楽」を復活させたいというところへ向かっていくために気持ちを吐露していくところが良かったです。
どうしてもあと一歩違うと悩み琉生と圭が悩む中、最後の最後にお母さんがほほ笑む姿が「独楽」の完成の目印となると記載していたお父さんの日報もジーンと来ました。これほど短時間の中で家族の崩壊から再生までをしっかりと描き切ってくれているアニメ映画はないかなと思います。
{/netabare}
個人的にP.A.WORKSさんの作品が好きということもありましたが、声優陣の手堅くなく、下手な作品見るよりも琴線に触れてくれる作品でしたので、心あったまりたい時におすすめです。
