ひろたん さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
はい、覚悟しました。
この作品、観るのが怖かったんですよね。
だから、オンエア中は観ることができませんでした。
理由は、この作品を観終わったら、青春が終わってしまうように感じたからです。
もちろん、私は、今は、そんなお年頃ではないですよ。
でも、この作品は、既に終わってしまったはずの青春を追体験させてくれます。
そして、既に青春がどう言うものか分かっている今の私にとって、
とても貴重な3年間だったと言うことも分かります。
だからこそ、終わってしまうことに、この上なく寂しさや怖さを感じているのです。
この作品を観終わると言うことは、そんな追体験な青春であっても、
それが終わってしまうと言うことをまざまざと突きつけられてしまう気がするのです。
もっとこの時間が続けばいいのになと思いながら、それが終わってしまう。
それは、とても、怖いことだと思います。
よく、なんとか「ロス」って言いますけど、この作品を観終わったら、
まさにそれになってしまうんではないかと想像できてしまいます。
だから今まで観ることができませんでした・・・。
だって、つらいのは嫌ですから。
そして、そうなることも予想できてしまいますから。
と、言っても、やはり観たい作品なので、観ることにします。
はい、覚悟しました。
■「第12話さいごのソリスト」は、神回
{netabare}
「神回」って、たまに耳にする言葉です。
私は、「第12話」を観て、こう言うことかって実感させられました。
部長「久美子」と親友の「麗奈」、転校生の「真由」、後輩の「奏」。
この4名が関係する序盤からくすぶっていた「ソリ」をめぐる問題。
この回ではその問題に対して、予定調和ではなく、でも、登場人物全員、
そして、私たち視聴者に対しても納得できる形で解決したのがすごすぎます。
こんなに綺麗な解決方法があるんだって本当にびっくりしました。
確かに、私が予想していた結末だったら、だれかだれかに禍根は残りました。
でも、この回は、だれにも禍根は残さなかった。
そして、総勢91名が一丸となって最終回に臨むための土台を作りました。
いえ、もう土台じゃないですね。
この回で、土台の上に見事な建築物が完成したかのようです。
そして、最終回は、それをお披露目する場になるんです。
本当に、神回です・・・。
それにしても、雨宮天さん演じる「久石 奏」ちゃん。いい味出していますね。
初登場のときは、ヤバいなこいつとも思いましたが、今ではとても好きなキャラです。
{/netabare}
■まとめ
私は、この作品を視聴したその日の夜中になぜか目が覚めてしまいました。
普段は、朝まで爆睡の私なのですが・・・。
そして、いろいろなシーンを思い出しながら涙が出てきました。
きっと観終わった後からずっと頭の中でシーンはまわっていたのだと思います。
それが寝てからも同じだったのでしょう。
睡眠は、記憶を整理すると言いますが、きっと処理しきれずに起きたのです。
案の定、こんなことならやっぱり観なければよかったと思いました。
でも、同時に、やっぱり観て良かったとも思いました。
とても複雑な気持ちです。
でも清々しさも感じています。
私は、この作品を観終わって気持ちに一区切りつきました。
この作品は、青春を追体験させてくれました。
そして、昔に置き忘れてきた何か大切なものを思い出させてくれたと思うからです。
この作品で、気持ちに一区切りついたのは、私だけではないはずです。
「京アニ」のファンの方々もいっしょなのではないでしょうか?
私は、あの痛ましい事件で「京アニ」を始めて知りました。
また、その時、ニュースでしきりに紹介されていたのがこの作品でした。
当時、私はアニメに興味はありませんでしたので、作品名を聞いてもピンときませんでした。
しかし、今、この作品に触れ、自分の心がこれでもかと揺さぶられています。
だとしたら、事件前からの「京アニ」やこの作品のファンの方々の想いは
想像に難くありません。
そして、事件から月日は経ち、この作品は、ここに見事に完結しました。
人は、心に区切りを付けないと前に進めないときがあります。
この作品は、「京アニ」ファンにとってもそんな作品になったのではないでしょうか?
「そして、次の曲が始まるのです。」
この作品は、次に進むために必要な一曲となったのではと思うのです。
***
この作品、気軽に2度目が観られないですね。
青春って、とても貴重だったと歳をとってからの方が分かります。
この作品は、そんな青春を追体験させてくれます。
そして、それが儚くも終わってしまうものだと再認識もさせられます。
それが、とてもつらい。
なぜなら、いくら追体験させてくれたところで、自分の青春が戻るわけではないからです。
ただ、ひたすらに貴重な時間を失ったと感じるからです。
でも、この作品は、つらい思いをしても、また観るべきだと思っています。
なぜなら、自分にもそんな貴重な時間があったことを忘れてしまうことの方が
大切なものを本当に失うようでもっと怖いからです。