「魔王2099(TVアニメ動画)」

総合得点
68.4
感想・評価
103
棚に入れた
333
ランキング
2153
★★★★☆ 3.5 (103)
物語
3.4
作画
3.5
声優
3.6
音楽
3.4
キャラ
3.6

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ヘンゼル さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

ラノベアニメの中では75点。一般のも含めると60点ぐらいの出来。

原作未読。久しぶりにラノベ原作のアニメを見た気がしました。

見終わった感想は、まあ普通。
最近の新規のラノベアニメの品質がそこまで高くないのもあってか、それと比べたら中の上レベルぐらいの面白さかな~という感じですね。
ただそれもラノベという枠内の話なので、一般アニメと比較すると中の下より少し上ぐらいの評価かなと思います。

暇つぶしで見れば面白いと思えるかもしれませんが、本気でこの世界に浸りたい!という方には個人的におすすめは致しません。
その理由は後ほど記載しておきます。


さて、まずは良い所からですね。
①世界観
結構面白い世界観だな~と率直に思いました。
サイバーパンクというジャンルで、「コンピュータに管理されてはいるが、退廃的で暴力的な未来社会」を指す言葉なんですが、本作はそれに付け加えて「魔法」が入ってきます。
言うなれば、マジカルサイバーパンク?という事なのでしょうか?
本作はそういう要素を元に世界観を構築しており、ちゃんと説得力がある描写を随所に入れ込んでいます。

例としては、「ファミリア」という身体に着ける機器とかですかね。
この機器が及ぼす社会体制や、実際の使用者などの描写が丁寧でとても良かったと思います。

②キャラ
ベルトールというのが本作の主人公で、タイトルにもある通り「魔王」なんですが、魔王というキャラとしては意外と普通かな?という感じでした。
陳腐なキャラかもしれませんが、勇者魔王物を知っていれば比較的想像しやすいキャラでもあり、余計なことを考えずにダイレクトに伝わるキャラでもあるので、私的にはそこがグッドだなと思いました。

③作画
全体を通してみれば、中の上あたりぐらいでしょうか。
第9話辺りから怪しいシーンが多くなってきますが、それもそこまで気にならない出来でした。
そのため、作画は結構いい方です。

良い所はこんな感じですかね。
では次に、悪い点に行きましょうか。

①世界観がちゃんと生かされていない
主にサイバー要素が少ない、というか現代機器の基準とそこまで大差ない感じなので、未来的なガジェットや先鋭的な都市システムが出てくることもほとんどないですね。
そういうのを期待して見ない方が良いです。

また、戦闘シーンでもサイバー要素が生かされる事が少なかったなという印象。
勇者VSサイバー秘書は結構出来がいい方なんじゃないかなと思いますが、それ以外がうーん。魔王VSマギノギアが次点ですかね。
特に酷かったのは女神VS魔王の戦いで、サイバー要素が何もない。
秋葉原で戦うのであれば、せめて秋葉原の要素をもっと生かしてほしかったなという感じですかね。
都市中の電力を集めてレールガンでぶち抜くとか。
まあそうなると、このお話の根本から変更しないといけないですが。

②一部シーンの作画
ベルトールが真の姿でしたっけ、それを敵に見せつけるという流れがあるんですが、その姿がまあ酷い。
作画も相まって「小学生のころとにかく強そうな要素を片っ端から入れました的なドラゴン」になっていて、あまりにも共感性羞恥が過ぎる出来でした。
あと、喋るたびに口をパクパクさせるんじゃない。鯉じゃないんだから。
ドラゴンなんですから、もう少し厳かにしていて欲しかったですね。

③テンポ
ベルトールが真の姿をお披露目した回に、これまで散々煮え湯を飲まされてきた敵キャラに対して圧倒するという流れがあるんですが、そのテンポが長くて冗長です。

そういうシーンは、スピーディである方がカッコいいと思うんですよね。
よくありますよね。恨んでいる奴だったしても一発殴って終わりにするやつとか。
私個人としては、たとえそれが復讐する相手だったとしても、執拗にネチネチ痛めつけるのは好きじゃないんですよ。
なぜならたとえ感情移入してそのキャラを見ていたとしても、結局は他人で、自分がやられたわけではないからです。
本作はテンポも悪いのも相まって、そのシーンの描写がくどかったように感じました。

でもこの点に関しては、完全に私個人の好みによる評価ですので、復讐シーンは時間たっぷり見たいという方には刺さる内容かもしれません。

次に、第9話及び第10話に出てきたメイド喫茶のシーンのテンポ。
これが作中では特に一番酷かった。
その後に出番もないようなネタキャラを、何十秒も画面に出すんじゃねえよと。
それ以外にもこの回の話に出てくる会話や、決闘シーンがありえないぐらい冗長で、露骨に尺を稼いでいる感じでした。
面白いシーンなら別に良いんですが、本作は全体的にギャグのキレが悪い上に、会話劇にしてもラノベ特有の長ったらしい言い回しをそのままアニメでも使うので、脚本家が仕事してないんじゃないか?と思ってしまいました。

しかし逆に、最終話らへんのテンポがありえないくらい早かったですね。
ただその割に、設定や舞台状況の説明不足が甚だしく、今何が起こってるのか、いまいちよく分からず意味不明でした。
結局、魔法街と電気街が対立しているのはなぜだったのでしょうか?
謎です。

④ラノベアニメにありがちな安い「暗い過去」を持ったキャラ
正確に言えば、その話を作るために即席の「悲劇のヒロイン」を出してくることですね。
これ、つまらないんでもう見たくないです。
たかだか数話、話の中核を担っただけのキャラに、何をどう思わせたいのでしょうか?
感動? 
できるわけないんですよ。
こういう話づくり、というかこういう見せ方しかできないから、ラノベアニメって書籍原作より、WEB原作の方が売れるんですよね。

総評
ラノベアニメとしては普通ですが、漫画原作のアニメなども含めると「田舎では神童などともてはやされていたが、有名進学校では普通よりちょい下の劣等生」という感じの出来ですかね。

ただ、ラノベアニメ好きの方には一度観てみても損はない作品かなと思います。
最近の書籍原作のラノベアニメはハズレな事が多いので、本作はそれと比べると十分当たりだと思います。
取り敢えず、区切りが良い8話辺りまで観てみる事をおすすめします。
第9話以降は言ってしまえば駄作に片足突っ込んでいるレベルの出来なので。
以上です。

投稿 : 2025/02/28
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サンキュー:

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