「ダンダダン(TVアニメ動画)」

総合得点
75.3
感想・評価
248
棚に入れた
809
ランキング
826
★★★★☆ 3.8 (248)
物語
3.6
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.8
キャラ
3.8

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青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

アニメは観りゃわかるんだから余計な説明なんかいらねぇ!

龍幸伸による原作漫画は、『少年ジャンプ+』(集英社)にて連載中(既刊18巻、未読)。
アニメ1期は全12話。監督は山代風我。制作は『映像研には手を出すな!』、『平家物語』などのサイエンスSARU(東宝の子会社)。2期の制作が決定済み(以上、Wikipedia参照)。
(2025.2.24 投稿)

【アニメは観ればわかる!】
日本アニメ・漫画の特徴ともいわれてますが、日本のアニメ・漫画は、とにかく設定に関する説明が多い。特に昨今のアニメの主人公が最初からチート過ぎることもあり、そのチート内容の説明であったり、その主人公の強さに見合った強いライバル(敵)なんだという説明も多い。

もっとも、アニメ・漫画は、そもそも「画で伝えるメディア」。敵が強いなら、そのことを言葉ではなく画で見せればいいんです。

本作は、そんな「アニメは観りゃわかるんだから余計な説明なんかいらねぇ!」というコンセプトがガンガン伝わってくる映像で魅せる作品。作ったのは、監督初作品となる31歳の山代風我監督。粗削りだけど、その辺の昨今の日本アニメに対するモヤモヤ感を吹き飛ばすだけの勢いを感じました。

また、原作漫画の龍幸伸さんも、「漫画は観りゃわかるんだから余計な説明なんかいらねぇ!」というコンセプトで描いているそうなので(※Youtubeでの原作者インタビュー参照)、いいマッチアップだったんじゃないでしょうか。

本作は、宇宙人やネッシーといった「オカルト」と、ターボババアやアクロバティックさらさらといった都市伝説などの「怪異」という「よくわからんもの同士を戦わせたらすごいんじゃねーか」という単純なコンセプトから出発したそう(※Youtubeでの原作者インタビュー参照)。

もっとも、本作は、オカルト、怪異に限らず、OPは1966年放送の初代ウルトラマンのOPのオマージュ、高倉健、「24時間戦えますか」はバブル期、阿部寛の『下町ロケット』、古畑任三郎、志村けんのバカ殿様などなど、年代・分野を問わず日本のカルチャーを幅広く取り込んでいます。

ところが、海外の人はもちろん、日本人でも、これら全てをリアルタイムで観ていた人は少ないでしょうから、事情が分からないと白けるかもしれないのに、画で物語に引き込んで、その背景事情に興味がわいたなら自分で勝手に調べやがれ!(※細かい説明なんかしてやらねえ(笑))という画で魅せる自信がないと決してとれない視聴者に優しくない「強気な姿勢」できた(笑)

でも、この「画を観ればわかる」、「画で物語に引き込む」という強気の姿勢が功を奏した結果が、本作の世界的な大ヒットを生んだ原動力なのだと思っています(※現に海外では、本作をきっかけとして俳優・高倉健をはじめとする日本の文化に興味を持つ人が増えているようです)。


【「強気な姿勢」の功罪】
さて、いきなりの第1話、ターボババア(CV.田中真弓)の主人公・高倉健ことオカルン(CV.花江夏樹)に対する「オッパイ吸わせてやるからよお、イチモツしゃぶらせろ」というセリフが強烈過ぎて、国内外で物議を醸すことに(笑)

確かに、字面だけみるとパワーワード過ぎるんですが、実はターボババアがこのセリフを言うだけの理由があったことが第4話で明かされます。当然、1話の段階ではわかりませんし、第4話でも明確な説明はないので、きっとわかってもらえるはず!という、ここでも視聴者に丸投げの強気な姿勢に。

もっとも、この観る者に細かい解釈を丸投げという表現者の強気な姿勢は、古くは短歌・俳句の「体言止め」から『シティーハンターのGet Wild』、『サムライチャンプルーの四季ノ唄』に続く、全てを語らず余韻を残すというハイコンテクストカルチャーである日本古来の表現でもあります。

また、山代監督の演出も斬新といわれていますが、監督曰く過去のアニメなどで気になった演出を高校生からメモって来たものの集大成のようです。さらに、称賛されている第2話の白黒表現も、本作のオマージュ元である過去の白黒テレビで放送されていた頃の「特撮」に対するオマージュの意味があるそう(※Youtubeの監督インタビュー参照)。

というわけで、観る側が最近接していないというだけで、温故知新じゃないですが、まるっきり由来のないものというわけではない。


さて、ここまで良いところばかり言ってきましたが説明がないことの弊害も確かにあって、例えば、怪異だけでなく宇宙人にも「お札」が効く理由がよくわからないし、星子(CV.水樹奈々)が美魔女な理由も不明なので、映像の勢いで誤魔化されている面はあります(笑)

また、話題の第7話で、外国人のアニメ実況者がアクさら(CV.井上喜久子)と白鳥愛羅(CV。佐倉綾音)が実親子だと勘違いしていたので、正確には内容が伝わっていない。まあ、正確に内容が伝わってなくても、号泣してるんですけどね(笑)


結局のところ、本作は、「(立ち止まって考えると)意味はよくわからんが映像がすごい作品」なので、とりあえず一旦は制作者側の意図に乗っかって楽しむのが吉な作品だと思います。
あとは、もし本作を観て興味がわいたなら背景事情を調べていくと色々と面白いことがおまけ的に分かるというような仕掛けになっているんじゃないでしょうか。


【声優】
『リコリコ』で井ノ上たきな役だった若山詩音さんが、もう一人の主人公である綾瀬桃を演じてます。海外では、『週刊少年ジャンプ』を代表とする少年漫画の女性主人公の既成概念を変える主人公と評されているようです。でも、「たきな」もそうだし強い女性主人公自体は昔からいるので、そこまで持ち上げられていることに若干違和感あり…

『ワンピース』のルフィ役として有名な田中真弓さんがターボババア役として出演。他の代表的な役も『天空の城ラピュタ』のパズーだったり、『ドラゴンボール』のクリリンだったりと若い男性が多いので、年相応の女性役であるBBAをやりたかったそう(笑)

「とりあえず第7話を観ろ」の意味を私も理解しましたが、その第7話に登場するアクロバティックさらさら役の井上喜久子さん(17歳おいおいw)が控えめに言ってヤバイ。
娘で現在声優の井上ほの花さん(24歳!?)が小さい頃に、彼女をリゾートホテルのプールに一人で残していたところ、途中でプールが深くて足がつかないことに気づき、一目散に娘のところに駆け戻った時の感情を再現したそう(※ダンダダンのラジオ参照)。滅茶苦茶迫真です。


【音楽】
Creepy NutsによるOPの「オトノケ」は、『マッシュル』のOPとして全世界で人気となった『Bling-Bang-Bang-Born』に続いて話題に。現在、個人的にもヘビロテ中。

投稿 : 2025/02/24
閲覧 : 24
サンキュー:

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