トロール夢民 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
次はどんな映画を作るのだろう
シンプルで分かり易いエンターテイメント性の高い作品だった
冒頭の展開に引き込まれ、映画が始まってわずか15分以内でクライマックスの第一波が押し寄せてきた
ドアをロックするといったありふれた日常の行動に過剰な演出を加え、スペクタクルに仕立てている
それだけで、もう観ていて面白かった
ドローンによる撮影手法を模したようなカメラワークも非常にクールだ
映像表現は前作から格段にレベルアップしている
田舎娘の前にイケメンを登場させて、ストーリーを強引に進める手法はワイルドだ
娘主人公の行動原理なんてのは、運命めいた出会いを感じさせるイケメンの登場という情報だけで十分なのだ!と言わんばかりの潔さが心地良い
この辺りは宮崎駿監督が得意とするパターンを踏襲しているように見える
作中にはジブリへのオマージュをこれでもかと盛り込んだ上に、メタ発言ともとれるコメントまで用意されていた(気のせいかもしれないが)
作品の随所で、演出に余裕が感じられた
明らかに映画内の情報を自在にコントロールし始めている
ここに来て、実力が別次元へ達してしまったようだ
そもそも新海誠氏の作品は『星を追うこども』以外は好きになれなかった
『秒速5センチメートル』と『言の葉の庭』は、とにかく陰鬱かつ退屈で観ていられなかった
『君の名は。』と『天気の子』は、ティーンエイジャーだけが楽しめるシチュエーションの宝庫で、全く感性が追い付かず、まともに観るのが辛かった
しかし本作『すずめの戸締り』は、私が苦手な「新海誠スタイル」のような要素を含んでいながら、退屈さは感じられず、私のような不細工で教養の無いハゲでも楽しめる作品に仕上がっていた
彼は、作品を発表するごとにネクストレベルを見せつける非凡な監督だ
彼のスキルはますます恐ろしいものになっている
新海誠監督は、これまでほぼ3年置きに新作を発表している
今後もずっと映画を作り続けてほしい
宮崎駿監督に敬意を表し、引退と復帰を繰り返しながら