やっちん さんの感想・評価
3.0
物語 : 2.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:----
安田現象初の長編アニメ
この作品を見るまで安田現象という人のことは全くと言っていいほど知らなかった
ウィキペディアなどを見る限り、3DCGによるショートアニメを数多く手がけ、TikTokのフォロワーが290万人もいる超人気アニメーターだという。
その安田現象が初の長編アニメを手掛けるということで、それでCMをよく見かけるのかと納得した。
それで感想はというと、よくできているようで、結局何を描きたいかがわからず、感情を揺さぶられることもなく、消化不良で見終わったという感じである。映像面でもストーリー面でも新しい何かを見たという驚きは感じることができなかった。
0号のキャラデザは美しく、非常に好みではあるが、彼女が高性能な人型アンドロイドであるということに特別な何かを感じることができなかった。
0号の存在が何を示唆しているのか、母親の化身のようなものなのか不明である。
結局、0号というアンドロイドの存在を介して、明と母親であり天才科学者であった稲葉との関係性において、主人公がいかに母親という存在を乗り越えていくかがストーリーとしての一つの見せ場になっているのだろう。
ストーリーに連続性が欠けているのも気になった。シナリオに問題があるのだろうが、具体的に指摘できるだけのリテラシーはないので言及はしない。場面展開に唐突感があり、これは尺の問題もあったのかもしれないが、これは監督自身がショートアニメを手掛けていることに起因しているものと思われる。
それから、日常パートでの展開がもっさりしているというか、微妙に0.8倍速のフィルムを見ているような感じでテンポが悪く間延び感がある。
見どころと思われるフルCGによる作画は確かに美しいし、質感もセルアニメに寄っていて高い制作技術の片りんを見ることはできるが、現在のテレビアニメでもこのくらいの作品は既にあるので、この映画で革新的な何かがあったかというと見た限りにおいてそれを感じることはなかった。一場面一場面はいいが、それが連続する長編アニメになると全体としてまとまりのなさのようなものが目立っている。
新たな挑戦のようなものも感じられず、初めて長編を作ったということだけで終わっているような気がする。
かといって低評価するつもりはない。映像自体は非常にきれいなので、普通によくできたアニメだとは思う。